ピーキーな性能してます。
2020 年 12 月 15 日に発売された AirPods Max。Apple 初の完全ワイヤレスヘッドホンです。
先日、視聴させていただく機会が突然やってきました。またとない機会ですから約 3 時間ほどつけっぱなしにして、仕事やリスニングをしてみました。
結果、ボクは絶対に買わないと思います。けれども欲しい人にとってはきちんと欲しくなるし、所有欲も満たしてくれるヘッドホンだろうなあ感じました。
以下、プレイヤーに Astell&Kern AK70 MKII を使用し、オフィス環境で視聴したレビューをお届けします。
AirPods Max が優れていると感じた 3 つ
音質
まず皆さんが気になっているであろう音質は率直に良いものでした。無線とは思えないほど音域が広く、音の表現も丁寧。
有線のヘッドホンで言うとプリンちゃん (HD598。現在の HD599) と同等程度の音質は出ているんじゃないかなあと感じるほど。
プリンちゃんは 2 万円、AirPods Max は 7 万円と価格差こそありますが、AirPods Max には無線であること、ノイズキャンセリング搭載であることに付加価値があります。
純粋な価格差では比較が難しいところかもしれません。それでも無線でここまでの音質を実現しているのは素直にすごいと感じました。
デザイン
Apple から AirPods Max が発表された当社、ユーザーから散々に言われていたデザイン。かく言うボクも正直ダサいと感じていました。ところが、実物を見ると思いの外格好いいです。
Apple お得意の削り出しアルミの質感は健在。りんごのロゴは刻印されていないけれど、AirPods Max が Apple 製品だと知らない人が見ても一眼で Apple 製品だと認識させる高級感があります。
写真だとあんなにダサいのに。不思議です。
ノイズキャンセリング
比喩ではなく、ガチで何も聞こえなくなります。それなりに大きな声で話しかけれても全く気づくことができず、肩を叩かれるなどして初めて声をかけられていることに気がつきます。ボクが普段使用している Sony の WF-1000XM3 とは比べ物にならない性能です。
耳栓として使うにはこれ以上のものはないでしょうね。何も聞こえなさすぎて、屋内であっても足音に気づかず人同士で衝突事故を起こしそうです。
個人的に気に入らなかったところ 3 つ
謎のホワイトノイズが常に発生
AirPods Max 装着中は謎のホワイトノイズがとても気になりました。ノイズキャンセリングモードでも外音取り込みモードでもこのホワイトノイズは消えず、おそらく音を拾っているマイク機構が悪さをしているのだと思います。
音楽を聴いているときには余計なノイズに。耳栓として使っているときには単なるノイズに。正直この不快感がとても強く、個人的に全く許容できるものではありませんでした。
低音と抜け感
音質は確かに間違いなくいいのですが、残念ながらボク好みの音ではありませんでした。具体的には低音が強すぎる。また、密閉式なので抜け感がなく、音がこもって聞こえるのもイマイチ。音質の良さが災いし、かえって好みではない部分が際立って聞こえてしまったように感じます。
好きな人にとっては好きな音なのだろうと思います。音の好みは思いっきり主観が入る部分ですからね。ここは許してください。
重さと側圧
重たい。痛い。
AirPods Max の重量は 384.8 g。対してボクが普段使用している TH909 は 390 g。ほぼ一緒の重たさです。流石に驚いた。その上 AirPods Max は側圧も強く、正直使用した後には倦怠感を覚えてしまいました。
持ち運びに関しても、ペットボトルの水 1 本分弱の重量を常にカバンに加えた状態を強いられます。これはなかなかに大きな制約だなあと感じました。
重さに耐えられ音の傾向が好みなら買い
ボクが AirPods Max を買う日は絶対に来ないと思います。
AirPods Max は結局 Bluetooth 接続ですから、自宅で TH909 にとって変わるほどの音質には全く期待できません。
となると、外出先でのリスニングか、作業時の耳栓としての運用がメイン用途になることが想定されます。ところが「ホワイトノイズが気になる」「音が好みでない」「しかも重たい」と、音に関しては言わずもがな、作業効率に関してもかえって効率を悪化させるんじゃなかろうかという看過できない不具合の三つ巴。
正直欲しいとは思えませんでした。
ただ、優れていると感じた 3 つの点は確かにめちゃくちゃすごいです。音質が好みだとすれば、あとは重量やホワイトノイズさえ気にならなければ所有欲をかなり満たしてくれるヘッドホンであることに違いありません。デザインも格好いいしね。
税込で 7 万円弱と、決して安い買い物ではありませんから、必ず店頭で視聴してから購入をご検討されることをお勧めします。
現場からは以上です。