ゲーム実況にお金は必要ない!
2021 年 10 月、M1 Pro / M1 MAX 搭載の MacBook Pro が発売され、ますますゲーム実況配信に強くなった M1 Mac シリーズ。
この度「M1 Mac を使ってたった 3,000 円でゲーム実況できる環境」を構築してみましたのでご紹介いたします。
ちなみに、以前にもゲーム実況の必須アイテムである、M1 Mac 対応のキャプチャーボードをご紹介したことがあります。
こちらの記事でご紹介したキャプチャーボードは、今回ボクが購入したものは含まれていません。とはいえいずれも値段に比例して品質の良いものなので、ぜひ過去記事も覗いてみてください。
ゲーム実況に必要な機材と配線図
今回は M1 MacBook Air でゲーム実況することを前提とした環境を構築しています。
M1 Pro や M1 MAX をはじめとする M1 Mac シリーズにも対応している方法ですのでご安心ください。もちろん、Windows でも問題なく利用できます。
さて、今回の環境構築に必要となる機材は次のとおりです。
機材 | 必要数 | 用途説明 |
HDMI キャプチャーボード | 1 | ゲームの映像と音をパソコンに取り込む機械 |
HDMI 分配器 | 1 | ゲームの映像と音をパソコンとモニタ両方で見られるようにする機械 |
HDMI ケーブル | 3 | ゲーム機、パソコン、キャプチャーボード、分配器を接続するケーブル |
USB ハブ | 1 | USB Type-A を USB Type-C に変換するためのもの。パソコンに USB Type-A ポートがデフォルトで備わっていれば不要 |
これらの機材を次の図のように接続すれば環境構築完了です。
ちなみに、キャプチャーボードなどの機材を使わない、通常の配線だとこんな図になります。比較用として。
【必要アイテム 1】2,000 円の「Chilison HDMI キャプチャーボード」
まず必要になるのが HDMI キャプチャーボードです。
今回ご紹介する僕が購入した HDMI キャプチャーボードは、Chilison という謎の中華メーカー製のもの。
2021 年 11 月現在、Amazon では購入不可になってしまっている模様。
でもご安心ください。中華メーカーあるあるで、メーカーやロゴが一見違っても中身はほとんど同じな製品が Amazon にゴロゴロ転がっています。
例えばこれとか。
ゲームキャプチャーボードで最も有名な商品のうちのひとつ、「Elgato Game Capture HD60 S」の金額が約 20,000 円。対する中華製キャプチャーボードの金額はその 10 分の 1。いかに破格の金額であるかがわかりますね。
代償として、1080 p / 60 Hz 対応を謳うこの中華製キャプチャーボード、実際には 1080 p / 30 Hz までしか対応していません。
明らかな虚偽表示ではありますが、今回は安さ優先ということでここはひとつ。ボクが購入したものがハズレなだけで、もしかするときちんと 1080 p / 60 Hz で動作する中華製キャプチャーボードもあるのかも。
画質を優先して確実に 1080 p / 60 Hz や 4K キャプチャーがしたい場合は、やはり信頼性のあるメーカー製を購入した方が安心です。
【必要アイテム 2】1,000 円の「MESEVEN HDMI 分配器」
HDMI キャプチャーボードを購入するときは、セットで購入すべきなのがこの HDMI 分配器。
Nintendo Switch や PS5 などのゲーム画面と音声を、パソコンとゲーム用のモニタ、その両方に同時に映すための機械です。
分配器がないとゲーム画面や音声がパソコンにしか出力されず、とんでもない操作遅延を引き起こしてしまいます。分配器がなくてもゲーム実況配信はできますが、まともなゲームのプレイができなくなってしまって本末転倒です。
こちらも中華製を使えば 1,000 円ほどで手に入ります。ボクはこちらの商品を使っています。
ずいぶん金額は上がってしまいますが、品質を重視するなら ELECOM 製などもあります。映像の現場でも使われているモノなので、「価格よりも信頼性だ!」という場合はこちらがおススメです。
なお、先述した Elgato をはじめとするメーカー製のゲームキャプチャーボードには「パススルー機能」などの名称で、この分配機能が内蔵されていたりします。そうした製品を使う場合、分配器は不要です。
HDMI ケーブルやハブが足りないときは
通常のゲームプレイでは HDMI ケーブルが 1 本あれば十分でした。ゲーム機とモニタをつなぐだけでしたからね。
ところが、キャプチャーボードや分配器をかますことによって、HDMI ケーブルが最低でも 3 本必要になります。
もしご家庭に余りの HDMI ケーブルがない場合は、別途購入して手配する必要があります。
このとき注意が必要なのは、HDMI ケーブルには「大は小を兼ねる」理論が通用しないということ。ケーブル全長が長くなるほどノイズが乗りやすくなり、転送速度や入出力映像に不備が生じる可能性が高くなるためです。
キャプチャーボードや分配器に中華製を使っておいて何を今更感はなきにしもあらずですが、必要最小限の長さをメジャーで測り、購入すると失敗がなくオススメです。
また、M1 MacBook にキャプチャーボードを接続するためには USB Type-A to C の変換が必要になります。
キャプチャーボードに限らず、MacBook に USB Type-A を差さなければならないタイミングはきっとやってきますので、これを機に USB ハブの購入もしてしまいましょう。
信頼性の低い USB ハブの使用は、MacBook の故障につながることがあります。多少値段が張ってでも、ここはできるだけ信頼性の高いものを選びましょう。
ボクはこちらの商品を使用しています。
実際に配信してみた
構築した環境で、M1 MacBook Air を使って実際に YouTube Live を行ったアーカイブがこちらです。問題なく動作していることがわかると思います。
たったの 3,000 円でゲーム配信環境を構築できるので、ゲーム実況配信のハードルも随分と下がりましたね。
ちなみに、Windows の自作デスクトップとキャプチャーボード「Elgato Game Capture HD60 Pro」を組み合わせて配信した際のアーカイブはこちら。見比べると、さすがにお金をかけている分、圧倒的に画質がいいです。
よく見ると、3,000 円環境の配信画質が 720 p になっていますね。これも画質の差に大きく影響しています。
キャプチャーボードは 1080 p / 30 Hz まで対応しているのに、なぜ 1080 p で配信していないのか。その理由を次の項で説明します。
M1 MacBook Air は 720 p 30 fps 配信が限界
720 p 30 fps と、2021 年にしては低画質で配信している理由。それは M1 MacBook Air の性能に限界がきてしまったためです。
1080 p 30 fps や 720 p 60 fps での配信は、残念ながら M1 MacBook Air ではかなり厳しいと言わざるを得ませんでした。
高画質設定にすると M1 MacBook Air が大発熱。ファンレス構造の MacBook Air はたちまちサーマルスロットリング現象を起こし、配信のフレームレート維持ができなくなってしまいます。
こちらが実際に 1080 30p や 720 60p を試した時の映像です。放送事故レベルですね。
M1 MacBook Pro であればファンがあるため、サーマルスロットリングを回避できるかと思えばそうでもない模様。やはり時間の経過とともに 1080 p では厳しくなるようです。
M1 Pro、M1 MAX は CPU 性能が向上しているため、もしかすると安定して 1080 p 配信も可能かもしれませんね。
たった 3,000 円で念願のゲーム実況配信をやってみよう
以上、多少の画質を犠牲にしつつも、たったの 3,000 円という低予算で M1 Mac を使用したゲーム実況配信環境の構築に成功することができました。
次回は M1 Mac における OBS の配信設定についてご紹介する予定です。
あなたもお手元の M1 Mac を使って、ゲーム実況配信をはじめてみませんか?