時代は M1 か。
早いもので、もう 4 月も後半。2021 年 4 月 21 日 (日本時間) に Apple M1 を搭載した iMac、iPad Pro が発表され、再びスポットライトの当たった M1 界隈。
この発表会の中でティム・クック CEO は、すでに M1 Mac ラインアップの売り上げが Mac 全体の大半を占めており、Intel 版 Mac の売り上げを上回っていることを明らかにしました。今後、ますます M1 の普及が進んでいくことが予想されます。
さて、ボクの勤める企業には、今年もフレッシュな新入社員が入社してきました。
うちの会社では入社時に Windows か Mac を選択できるようにしています。今年は Mac の希望者が 1 人でしたので、トラブルが起きても「まあなんとかなるだろう」と、思い切って M1 MacBook Air を支給してみることにしました。
今回は、M1 Mac のビジネス導入からおおよそ 1 カ月が経過した時点での状況をお伝えしてみようと思います。M1 導入に迷っている情シスさんにぜひ。
なお、今回の導入先職種における Mac の主要用途はこんな感じ。
- ドキュメント作業 (Microsoft 365)
- 軽いクリエイティブ作業や校正作業 (一部 Adobe CC)
- Web 会議の参加 (Microsoft Teams、Zoom)
大きなトラブルは現状なし
まだ 1 カ月しか経っておらず本格的な業務が始まっていないということもありますが、とりあえずド派手なトラブルはなく安心しています。ド派手どころか、今のところ小さなトラブルすらなし。
M1 がいくら高い互換性を持ち合わせているとはいえ、やはりまだまだ Intel 時代と比べると使えない、あるいは安定しないアプリケーションが数多く存在しています。
個人ユースでは多少の不安定要素があったとしても、なんとでもなります。しかしながら、企業ユースではそうもいきません。実際にうちの会社で導入するにあたって、主に次の 3 項目が不安要素でした。
- 常用ソフトウェアが問題なく動作するか
- 複合機が問題なく使用できるか
- 法人用セキュリティソフトが問題なく動作するか
順に見ていきましょう。
常用ソフトウェアが問題なく動作するか
うちの会社では職種によって Adobe CC 製品を多用します。Microsoft 365 などの一般的アプリケーションのほとんどが問題なく動作することは、ボク個人で検証済み。
一方で、Adobe CC を含むクリエイティブ系のアプリケーション、とりわけプラグインを酷使しようと思った途端、M1 チップの互換性という弱点が露呈することになります。
そのため、Mac を希望している新入社員の配属先情報は必須でした。調査した結果、Adobe CC (特に Illustrator や Photoshop) は使う機会があるものの、プラグインを使用するほどディープな使い方にはならないことが判明。
実際にこの 1 週間で Illustrator や Photoshop を用いた研修も行われていたようですが、問題らしい問題はない模様。
なお、使用するアプリケーションが M1 Mac に対応しているかどうかは、おおよそ以下のサイトで調べることが可能です。
法人用セキュリティソフトが問題なく動作するか
「McAfee Endpoint Security」を導入していますが、こちらも問題ありません。
M1 Mac にインストールするためには、ターミナルから Rosetta 2 および McAfee Endpoint Security 本体のインストールを行う必要がある点だけ面倒くさい。まあ、Intel 版 Mac も Rosetta 2 のインストールが不要なだけで、同様にターミナルからの本体インストールが必要なので、あまり工数に差はありませんが。
M1 チップ搭載 Mac シリーズの発売からおおよそ半年間が経過しようとしている現在、Rosetta 2 での動作にはなるものの、多くのセキュリティソフトが M1 に対応するようになりました。ボクが個人的に使用しているノートン先生も然り。
ただ、個人用と法人用ではアップデートのサイクルが異なる場合があります。M1 の導入を検討する場合、事前にセキュリティソフトのサポートに問い合わせておくと無難でしょう。ちなみに McAfee Endpoint Security は早い段階で M1 に対応していた模様。やるじゃん。
複合機が問題なく使用できるか
結論、できています。おそらく余程古い複合機でもない限り、この項目はクリアできると思われます。
うちの会社では富士フイルムビジネスイノベーション (旧 富士ゼロックス) 社製の複合機を使用しています。導入されているものは 2015 年発売の機種ですので、比較的新しいといえば新しいし、古いといえば古いなんともいえない感じの代物。
富士フイルムビジネスイノベーション社エンジニアの方曰く、「ドライバーが macOS BigSur に対応してさえいれば、プロセッサのアーキテクチャは関係ない」らしい。実際、エンジニアの方が来てくださり、サーバーのアップデートを行っただけで対応作業が完了しました。その間実に 30 分ほど。その後 M1 Mac にドライバーを入れて、おしまい。
おそらくは他社製も同様のものと思われます。念の為、こちらも事前にメーカーサポートへ問い合わせておくと安心です。
導入前には念の為、安定動作のリサーチを
ボク自身が社給 PC として使用しているのは、MacBook Air (2020、Retina) です。
通常のドキュメントワークを行う分には全く問題ないものの、いざ Web 会議でカメラをオンにしようものなら秘技「爆熱」が発動。メモアプリすら動作がままならなくなります。Web 会議の使用を前提とした今のビジネスシーンにおいて、この爆熱問題は控えめに言ってとても不便です。
かといって今更 Windows を使うのは余計にストレスが溜まってしまいます。
こんな背景から、「なんとか新卒の子には快適に Mac を使って欲しい」という思いが強くありました。そんなこんなで思い切って M1 を導入してみたんですが、目下のところよかったなあという感じです。当然、M1 MacBook Air は Web 会議も楽々こなしています。
今回の場合は幸運にも導入予定台数が 1 台だけ。「最悪何かあってもボクが使っている PC と交換対応すればいいか☆」と割と気楽に導入することができました。もちろん、上記のように想定されるシーンごとに事前リサーチは行った上での話ですが。
まあこんなやりたい放題できる状況も稀なのだろうと思いますから、人柱としてビジネスシーンに M1 をぶち込んでみました。
また何か問題があればご報告しようと思います。
M1 導入をお悩みの法人の方、ぜひ参考にしてみてください。