スチーム式キューブ型加湿器 KSF-S34: レビューまとめ

- デザインがいい
- 加湿性能はしっかりある
- スチーム式加湿器の中では価格が安い
- 水タンク内にカルシウム / ミネラル汚れが付きすぎて精神衛生が死ぬ
- 水タンクの汚れが「故障の原因」と脅されながら、洗って落とせない恐怖と戦う地獄
- タッチパネルが反応しない小ストレスの蓄積
- 自動運転が当てにならず、結局「弱固定」で運用する羽目になる
KSF-S34 は、加湿性能それ自体に大きな問題はありません。
加湿器としての役割は果たしてくれます。
しかし、それ以上にストレスになる点が多すぎるのです。
結論として、よっぽどこのデザインが気に入り、上の不満点があっても許せる人以外にはおすすめできません。
私のおすすめ度は ★★☆☆☆。星 2 です。
本当は返品して、象印の「STAN.」に買い替えたい。でも楽天で購入してしまったので返品ができない。
本気で返品したいなんて思ったことは、人生で二回目です。私はこの製品を購入して、本当に後悔しました。
だからこそ、私のようにデザインに惹かれて購入を考えているあなたに言いたい。
最初からお金を出して、いいやつを買った方がいい。本当に。
レビュー本編

今回レビューするのは、山善「スチーム式キューブ型加湿器 KSF-S34」。
いわゆるスチーム式 (加熱式) 加湿器で、加湿性能が高く衛生的な一方、電気代が高くつきやすいタイプです。
私はこれを、12 月上旬に購入。ブラックフライデーの終了後に、純粋に欲しくなって購入しました。
ところがどっこい。
導入初日のファーストインプレッションは最悪そのもの。返品を本気で考えました。
しかし数日を経て「正しい使い方」を理解することで、評価は一定以上変化しました。
……ただし、それでも最終評価は ★★☆☆☆ (星 2)。
全くおすすめしません。
しかもこれは「初日だけの勢い」ではなく、約 2 週間使ったうえでの結論です。
KSF-S34 を購入した理由

買った理由はシンプルに、デザインです。
スチーム式加湿器で王道を征くのは象印。性能と信頼性で言えば、象印製が圧勝でしょう。
ただ、象印の主要モデルは見た目が私には刺さらないんですよね。
そして私の悪い癖が出ました。
使い慣れていない家電ほど、性能よりも見た目で選びがち。——っていうね。
今回の KSF-S34 も、まさに見た目を最優先事項として購入してしまいまして。
その結果、使い勝手はゴミカス。「Re・de Pot の悪夢」の再来です。
安物炊飯器 Re・de・Pot を購入して後悔した話に触れた過去記事

もう、たとえ日本製でも、デザインが良くても、安い家電は二度と買わないと心に誓いました。
むしろ今の時代、「日本製だからこそ」安い家電はハズレになりやすいのでは……? いや、まさかな……。
初日、何がそんなに最悪だったのか

先に断っておくと、KSF-S34 は加湿器としての役割は果たします。
ただ、初日に刺さったのは「加湿以外の部分のストレス」が強すぎたこと。
- 手入れがだるすぎる
- タッチパネルが反応しない
- 自動運転が機能してない (ように見える)
この 3 点が、初日にまとめて襲ってきました。
「これ……返品できる?」って、本気で調べましたましたからね。できなかったけれど。
そして厄介なのが、これらが「慣れ」で消えるタイプのストレスではないこと。
2 週間使った今なお、私は頭を抱えています。
KSF-S34 のどこが悪いのか
お手入れが面倒くさすぎる。これが一番きつい
スチーム式加湿器のメリットといえば、ざっくり言うと「衛生的」「お手入れがラク」だと思ってました。
でもこの KSF-S34 には、「お手入れがラク」側のメリットが存在しません。
問題は水タンクにあり。
この水タンク、カルシウム / ミネラル汚れ (白い固着汚れ) が異常に付きやすいのです。

おそらく水タンクの内側に何もコーティングがされていないのでしょう。
で、説明書にはこうあります。
少しでも白い汚れが付着していたら、中性洗剤とスポンジで洗い落としてください
汚れを放置すると固着し、故障の原因になります
……いや、落ちないんだわ。
中性洗剤とスポンジ程度じゃ、こびりついている汚れが取れる気配がありません。
私は律儀に水がなくなるたびに毎回洗ってるんですが、むしろ悪化する一方なんですよね。
そして説明書は、加えてこうほざきます。
1 週間に 1〜2 回程度のお手入れで OK
は??????
毎回つく汚れに対して「故障の原因」と脅しておきながら「お手入れは週 1〜2 回で OK」だと? 何言ってんの? マジで。
クエン酸を使用すれば簡単に落ちるのでしょうが、毎回使っていては手間もコストもバカにならないわけで。
結局説明書通りのお手洗い頻度ではないことに変わりはないし。
結論として、KSF-S34 は「スチーム式なのにお手入れの手間を減らしたい人ほどイライラする」ってことですわ。
タッチパネルの操作性が終わっている

この時代にタッチパネルすらまともに実装できないなんて、誰が想像したでしょうか。
KSF-S34 のタッチパネル、反応が悪すぎます。
静電容量式なので本来「軽く触れて反応」が正しい挙動。
でも体感は逆で、「お前は感圧式かい!」ってくらい 指の腹で押し込むレベルの入力が必要です。
操作をしなければならないタイミングは、給水後の起動時、給水終了時の停止時など、基本は少なく済むのがまだ救い。我慢できないことはありません。
それでも、毎回襲ってくるストレスです。
コストカットの結果なのだろうけれど、スマートフォンで全人類がタッチパネル操作に慣れた今、そこは妥協していいポイントじゃあないでしょうに。
「自動運転モード」が全然うるおわないし、快適じゃない

KSF-S34 には自動運転モードがあります。
湿度センサーで、設定した湿度範囲を保つように加湿強度を自動で調整するものです。
ところがこれが、全く機能しません。
どのモードにしても、エコモードの下限である湿度 50%にすら届きません。
それどころか虚しく湿度 40 % 以下の数値しか得られないのです。別の湿度計で測っても結果は同様。
もちろん、置き場所、換気、室温、外気、部屋の断熱、さまざまな要因はあるでしょう。
ただ、少なくとも対応畳数の範囲内で運用してるのにこの結果になると、自動運転の存在意義が薄すぎる。
湿度センサーを投げ捨てて、タッチパネルにコストを割り振ったほうがマシだったのでは?
「AUTO」を捨てたら加湿はできる
私が研究したところ、結局この加湿器、自動運転モードを信じてはいけないのです。
最適解は自動運転モードを捨てて、通常運転の「弱」固定で回す。
これなら最終的に対インフルエンザウイルスで最低限目指すべきとされる 40 〜 50 % 近い湿度を保ってくれます。
つまり、
- KSF-S34 の加湿性能が悪いわけではない
- 「自動運転が信用できない」だけ
- だから自分で「弱」を選んだ方が安定する
これを理解してから、「返品したい」という気持ちは少し落ち着きました。
初日は不満しか覚えなかったけれど、「加湿器として最低限の役割」は果たしてくれることが認められましたからね。
おかげで部屋の乾燥は緩和され、睡眠の質も向上しました。
ただし当然、「加湿ができるようになった = おすすめできる」ではありません。
むしろ加湿器なのだから、できて当然のことでして。
その上でお手入れと操作性のストレスがのしかかってくる KSF-S34 は、現代資本主義が生み出した悲劇と呼ばざるを得ないでしょう。
ぜひ皆さんは後悔しない買い物をしてください。



