台湾の業界誌『DigiTimes』は、台湾の半導体メーカー TSMC が 3 nm プロセスに基づいて、Apple の「M2 Pro」および「M3」チップを製造すると報じました。
さらに同記事において、Apple はすでに TSMC の製造ラインを予約済みであるとも述べられています。
M2 Pro、M2 MAX が 3 nm プロセスになると何が嬉しい?
3 nm の製造プロセスがもたらされると、M2 Pro / MAX は M2 と比較して性能・省電力性の大幅上昇に期待できます。
一般に製造プロセスの数値が小さくなるほど Apple シリコンのようなチップの回路は強化され、性能や省電力性が向上します。
M2 は M1 シリーズと全く変わらない 5 nm 製造プロセスです。噂される 3 nm プロセスに対して、2 nm 大きなプロセスルールだということになります。
この影響があり M1 から M2 にかけての性能上昇は目を見張るものとは言い難く、正直中途半端であるという感想を抱かざるを得ないものでした。
M2 Pro / MAX でプロセスルールが刷新されれば、もっと飛躍的な性能向上に期待ができるというわけです。
また、M2 と M2 Pro / MAX 間の性能差も、M1 対 M1 Pro / MAX のそれと比較して一層大きくなることが予想されます。
これにより大衆向けの無印 (MacBook Air)、プロ向けの Pro / MAX (MacBook Pro) の構図がより顕著に現れることになるかもしれません。
Apple シリコンの進化は iPad シリーズと同じ経過を辿る可能性
M2 Pro / MAX が 3 nm プロセスで製造される場合、M2 シリーズは初代 Apple シリコンの M1 シリーズとは異なるシナリオを歩むことになります。
M1 シリーズは最廉価の M1 から、最上位の M1 Ultra にかけて、全て一律 5 nm プロセスで製造されました。
対する M2 シリーズは、最廉価モデルの M2 のみ 5 nm プロセス。M2 Pro 以上のチップは 3 nm プロセスでの製造となり、シリーズ間でプロセスルールに差が生じます。
ここで重要になるのが、『DigiTimes』が 「M3 も 3 nm プロセスで製造される」と報じている点です。
上位シリーズに最先端のチップ (3 nm プロセスの M2 Pro / MAX) を搭載して、翌年以降に廉価モデルへその技術を用いたチップ (3 nm プロセスの M3 無印) を搭載する。
この流れは 2021 年に M1 を搭載した iPad Pro を発売し、翌 2022 年に同 M1 を搭載した iPad Air が発売されたように、近年の iPad シリーズの展開と似ています。
「最新のテクノロジーに触りたければ上位モデルを買え」という、Apple のマーケティング的にも、M2 Pro / MAX が 3 nm プロセスで製造される説をより有力なもの考えて良い理由と言えるかもしれません。
ただし、これらのあくまで噂に過ぎず、M2 Pro / MAX が M2 無印と同様に 5 nm プロセスになる可能性も十分あります。
あまり期待しすぎず、M2 Pro / MAX の発表を楽しみにしておきましょう。