ルーターを新調しました。
購入したのは「バッファロー WSR3600BE4P」。2025 年 6 月に発売されたばかりの Wi-Fi 7 対応最新ルーターです。
今回はこちらをレビューします。コスパが高く、安定性にも優れるためおすすめできる商品でした。


なぜこのモデルを選んだのか

1. 国産だから
これまでボクはルーターに「TP-Link A10 (初代)」 を使用してきて、性能面も含めて不満一つなく運用を続けていました。
しかし気づけば A10 導入から 5 年以上が経過し、特にここ数か月の期間は Wi-Fi 接続が不安定になる場面が増加。新しいルーターに買い換えるにはちょうどいいタイミングです。
継続して TP-Link 製のルーターを購入することもやぶさかではありませんでしたが、しかしTP-Link のルーツは中国企業。アメリカでセキュリティリスクの面から TP-Link 社製品の販売禁止措置が執られそうになる [1] だの、個人的にも一周回って中華製品を避けるようになっているだのが重なって、今回は初心に戻って国産のルーターを選ぶことにしました。
国産のルーターは、ELECOM 製と NEC 製のものを過去に購入して使用していた経験があります。捻くれ者なので王道のバッファローを避けてきていたんです。ところがそのどちらも何かしらのトラブルに巻き込まれてしまい、いい思い出がありません。
そこで今回は、初めて、満を持してバッファロー製を選んでみた次第です。
なお、TP-Link はアメリカでの規制の動きに対して、「米国法人の TP-Link Systems Inc. とティーピーリンクジャパン株式会社は、中国に拠点を置く TP-LINK Technologies 社とは無関係である」との声明を出している [2] ことを補足しておきます。
*1 U.S. Weighs Ban on Chinese-Made Router in Millions of American Homes
https://www.wsj.com/politics/national-security/us-ban-china-router-tp-link-systems-7d7507e6
*2 一部報道に関する米国本社の声明
https://www.tp-link.com/jp/press/news/21538/
2. Wi-Fi 7 に対応しているから

ボクは Wi-Fi 7 に対応した端末は一つも所持していないので、このルーターの恩恵を最大限受けられません。無駄な出費ってこと。
それでもどうせルーターは長い期間使い続けるので、いずれ Wi-Fi 7 対応の端末を入手するだろうという目論見で選びました。
3. スペックと金額が過剰じゃないから

バッファローはすでに Wi-Fi 7 対応のルーターを、本機種含めて 3 つも販売しています。
しかし他 2 機種はいずれもゴリゴリにハイエンドモデル。明らかにオーバースペックな上、金額も可愛くありません。
家が広くない上に、Wi-Fi にそこまでの通信速度や品質を求めていないボクにとっては、むしろこのモデルがシンデレラフィットと言える程度のスペックだったわけですね。
レビュー
1. 外観チェック

ボクが購入したのは黒色・白色があるうちの後者。なので正確な型番は「WSR3600BE4P-WH」です。黒だったら末尾が「-BK」となるみたいですね。
余談ですがバッファローのルーターの型番命名規則って訳わからなさすぎ問題ありますよね。全然解読ができなかったので調べてみると、バッファロー公式 Web サイトに説明がありました [3]。うん、やっぱり複雑。
*3 型番の意味が知りたい(Wi-Fiルーター/中継機)
https://www.buffalo.jp/support/faq/detail/124145769.html
バッファローに限らず、日本の電化製品はもっと製品名をシンプルにするべきです。Apple の強みはそこにもあると思っているくらい。
最近 DELL が Apple の命名方式をパクったり [4]、富士通が PC ブランドを「FMV」に統一しはじめている [5] のはいい傾向だと言えるでしょう。ユーザーからすると、シンプルで直感的な製品名は、製品スペックを比較する上でありがたいんですよね。
*4 デルがPCのブランド名を一新、アップル方式でシンプルに
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-06/SPON8QT0G1KW00
*5 FCCL、個人向けPCの「FMV」ブランドを一新 若年層をターゲットにした「FMV Note C」などの新製品を発表
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1655135.html
閑話休題。
本体は想像以上にコンパクトです。 TP-Link A10 と比べるとこれくらいのサイズ差があります。とても小さい、素晴らしい。

製品下部は放熱のためか平らではありません。そのため立てて設置するためには付属のスタンドを装着する必要があります。本体からややはみ出るサイズなので、本体の薄さに期待して設置場所を検討している方は注意が必要です。



ポートは WAN × 1、LAN × 3 構成。LAN 本数が心許ないので、環境によってはスイッチングハブが必須になるかもしれません。


2. 回線スピードチェック
というわけで早速接続しました。テストしたのは土曜日の昼下がり。回線理論値は 1 Gbps。計測に使用した端末は MacBook Pro (16-inch, 2021) です。Wi-Fi 7 には非対応なものの、Wi-Fi 6 には対応しています。

比較として TP-Link A10 の時がこれ。A10 は Wi-Fi 5 規格な上、古めな機種だということもあり、ルーターを変えることによって速度が有意に向上したことが見て取れます。

ただ、通常のネットサーフィンでこの速度差を体感できるかと言われるとイマイチです。プラシーボ効果でちょっと速くなったかも? と思わなくもない程度。
なお、接続は今の時点で非常に安定しています。MacBook に iPhone、iPad いずれも目立った不具合もなく、快適です。
3. WPA3 に対応、セキュリティ面で安心

回線速度も重要ですが、ボクとしてはルーター乗り換えによって WPA3 に対応したことの方が有意義に思います。
WPA とは「Wi-Fi Protected Access」の略で、直訳すると「Wi-Fi 保護アクセス方式」となります。WPA3 は 2018 年に登場した最新規格。要するに現時点で最高のセキュリティ性能を誇ります。
TP-Link A10 は WPA2 (2004 年に発表) までしか使えませんでしたから、この差は大きい。
余談ですがボクの手持ちで WPA3 に対応していない端末は「Kindle Paperwhite (第 7 世代)」と「Lepro LED テープ」、そして「Nintendo Switch」の 3 つ。ここでも「Nintendo Switch 2」に落選し続けた影響があるのかよ。
仕方がないので、これら WPA3 非対応機種用には専用の SSID を用意して、WPA2 で接続することにします。具体的な設定方法は後述。

4. 設定画面がわかりやすい
バッファロー製のルーターは初めてだったので設定面でやや不安がありましたが、触ってみるとシンプル寄りの UI でわかりやすかったです。次の項目で実際に設定していきましょう。
実際に設定してみよう
1. 「バンドステアリングLite」の設定
まずは快適に使うために、「バンドステアリングLite」の設定から始めます。
「バンドステアリングLite」を使うと、1 つの SSID で 2.4 GHz・5 GHz を接続状況に応じて自動で切り替えてくれるようになるので、Wi-Fi 接続の快適性が向上します。
手順 1: 「バンドステアリングLite」を「SSID2」で設定する
まずは管理画面の「Wi-Fi設定」 > 「バンドステアリングLite」 にアクセスします。

ここでは「MLO」によって、一層安定した接続に期待ができる「SSID2」を使用します。
[ SSID2 ]、[ MLO ] の両方にチェックを入れましょう。
[ Wi-Fiの認証 ] は接続端末が対応していれば、前述した「WPA3 Personal」が断然おすすめ。そうでない場合は「WPA2/WPA3 Personal」を選択しましょう。
WPA3 に対応した機種が複数所持している場合は、ここでは WPA3 を選択しておき、非対応の機種はあとで設定する WPA2 の SSID に接続する方が、全体としてのセキュリティは高まります。
なお、[ SSID ] および [ 暗号化キー ] は、これまで使っていたルーターと設定を合わせれば、接続端末側で再設定する手間を省くことができます。
一通りの情報を入力したら [ 設定 ] ボタンをクリック。

遷移した画面で再度 [ 設定 ] をクリック。

するとこのような画面が表示され、自動的にルーターが再起動されます。Web ブラウザーを終了するような指示が書かれていますが、無視して大丈夫です。
手順 2: デフォルトで設定されている 2.4 GHz と 5 GHz の「SSID1」を無効化する
「バンドステアリングLite」で正しく接続できている確認と、余計な SSID を解放することによるセキュリティリスクを回避するために、デフォルトで設定されている SSID を無効化します。
管理画面の「Wi-Fi設定」 > 「2.4GHz (11be/ax/n/g/b)」 および「5 GHz (11be/ax/n/a)」 から、それぞれ [ SSDI1 ] の「 使用する」のチェックを外し、[ 設定 ] ボタンをクリック、その後先ほどと同様の手順を踏めば OK です。

2. WPA2 端末用 SSID の設定
続いて WPA2 端末用の SSID も設定します。WPA2 を使用する端末はボクの環境では総じて通信速度や過度な安定性は不要なので、互換性重視で 2.4 GHz 帯を使用することにします。
先ほど無効化した「Wi-Fi設定」 > 「2.4GHz (11be/ax/n/g/b)」から、[ SSID1 ]に「使用する」 のチェックを有効化。
その後任意の SSID の値と暗号化キーを入力し、[ Wi-Fiの認証 ] が「WPA2 Pesonal」になっていることを確認して [ 設定 ] すれば完了です。[ キー更新間隔 ] がデフォルトでは「0」になっていますので、「60」にするとセキュリティ面で一層安心です。

3. NAS との再接続

我が家では Synology NAS を固定 IP 運用していますので、ルーターを交換した直後は接続ができなくなってしまいます。 最後に NAS と再接続するための設定を行います。
交換後のルーターがデフォルトで割り当てている IP アドレスを、過去のルーターの設定に揃えるだけなので簡単な作業です。
交換前のルーターの設定情報を必ず控えておきましょう。
LAN 設定を行う
管理画面から「LAN」 > 「LAN」を開きます。
[ LAN側IPアドレス ] に以前のルーターと同じ内容を入力します。
[ 割り当てIPアドレス ] に、NAS の固定 IP を含む任意の IP アドレスとその数を入力します。
[ 除外IPアドレス ] に、NAS の固定IP アドレスを入力します。
[ デフォルトゲートウェイの通知 ] で「指定したIPアドレス」を選択し、先の「LAN側IPアドレス」と同じ IP アドレスを入力します。
その他 DNS 等を設定されている場合は環境に合わせて入力していただければ、NAS に無事接続できるはずです。

