はじめに
今回は SIGMA の E マウントレンズ「28-70mm F2.8 DG DN」を 2 年間使用したレビューをお届けします。
このレンズは、ボクが初めてカメラを購入した際に、カメラと合わせて購入しました。当時はほとんどカメラ・レンズの知識がなく、北村写真機店の店員さんと相談しながら選んだ一品です。
このレンズを選んだ背景・動機は主に以下の 3 点です。
- カメラ「α7C」と相性がよい
- 夜景も撮れる明るさがある
- 初心者に嬉しい標準域ズームレンズ
ボクにとって初めてのレンズだったため、購入からしばらくは「カメラレンズとはこういうものだ」と。特に「すごい!」とも、「ひどい!」とも思わず、ただ淡々と使用していました。
しかし、その後に SONY 純正の GM レンズを含む、他のレンズを使用するにつれ、SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN の素晴らしさ・深みに徐々に惹かれていくことになります。
このレンズ、マジでオススメです。
仕様・特徴
SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN の主な仕様から確認してみましょう。
- 焦点距離: 28-70mm
- 最大絞り: f2.8 (通し)
- 最小絞り: f22
- 絞り羽根枚数: 9 枚 (円形絞り)
- 最短撮影距離: 19 (W) – 38 (T) cm
- 最大径 × 長さ: φ72.2mm×103.5mm
- 質量: 470 g
- 価格: ¥99,000 (価格コムだと約 ¥80,000 から!)
GM レンズに匹敵する画質を持つ SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art をベースに設計された光学系により、最高級に近い画質を持ちながらも非常に小型軽量。そして 10 万円を切る低価格であるという唯一無二の特徴を兼ね備えています。
より細かな仕様は、公式サイトに記載されています。
実際の使用感
旅行、帰省、夜景、散歩、結婚式、ポートレート、テーブル。あらゆる場面で使用してきました。どんな場面においてもこのレンズのシャープネスやボケの質、色の再現性、どれをとっても必要十分以上の性能があります。
細かい部分 (特に周辺部のシャープネス) を見比べると、GM レンズから見劣りする箇所こそありますが、それ以上に 470 g という圧倒的な軽さ・小ささによる取り回しの良さに感動します。
一方で、AF の速さや正確さは、GM レンズと比べると明らかに劣ります。結婚式で夫婦が階段を降りてくる、あるあるシーンでは、ピントを外したショットが目立ちました。
とはいえ、ボクはどちらかというと人物写真よりも風景写真がメインで、風景を撮る分には AF 周りで気になる場面はあまりありませんでした。
実際の写真サンプル (作例)
風景
広角端 28mm で撮影。もう少し広がりが欲しいのが本音ですが、環境によっては十分な画角です。f8 まで絞っているので全体をしっかり描写してくれます。
広角寄り 35mm で撮影。パンフォーカスでカリカリな仕上がり。
望遠側の写真です。高コントラストも綺麗に表現してくれます。
望遠側で絞りを開放すると、気持ちのいいボケ感を演出できます。
料理
ラーメンを撮る時は絞り開放だとボケすぎる傾向にあり、思い切り絞った方が美味しく見える気がします。
35mm や 50mm などの単焦点でも重宝する画角を好き放題選べるのが標準ズームレンズの良いところです。
素材の質感がはっきり伝わる解像感は、撮影後の RAW 現像を楽しくさせてくれます。
夜景
夜景では最大絞り f2.8 通しの強みが最大限に発揮されます。手持ちでも景色を十分に美しく切り取ることができます。
リフレクションや玉ボケも心地よく写ります。
三脚を使った夜景撮影ももちろんこなします。
絞り羽は 9 枚なので、光芒も綺麗に写ります。
マジックアワーも高いコントラスト性能で情緒ある雰囲気に仕上げてくれます。
メリット & デメリット
ここまででもいくつか触れてきましたが、改めてこのレンズのメリットとデメリットをまとめてみます。
メリット
小さい・軽い
個人的に圧倒的な推しポイントです。28-70mm の標準域をカバーし、なおかつ f2.8 通しを実現しながらも、圧倒的な小ささと軽さがあります。
電車の中でカメラを首から下げていても全く邪魔に感じませんし、重さで首が痛くなることもありません。このレンズに慣れた後に、70-200mm の GM2 を使った日には首がもげるかと思いました。それくらいに明確な違いがあります。
優れた画質
軽量コンパクトな見た目とは裏腹に、写りがしっかりとしているのがとても良いです。軽さと画質が両立されているからこそ、気軽にカメラを持ち出せ、お散歩スナップにハマっている要因の一つになっています。
安価な価格
軽量・コンパクト・高画質。なのに定価で 10 万円を切る安さ。大三元レンズでこの価格ですよ。コストパフォーマンスでこのレンズの右に出るものはないでしょう。
デメリット
AF 性能
SONY 純正レンズの AF 性能を体感すると、どうしても気になってしまうポイントです。ワンテンポ遅れてしまうので、「この瞬間にシャッターを押したかったのに!」と、シャッターシーンを逃してしまう経験が何度かありました。
広角が 28mm まで
標準ズームレンズの多くは広角側が 24mm までありますが、このレンズは 28mm までしかありません。風景撮影中に画角が足りないなあと感じる場面が多いです。このレンズとは別に、超広角レンズが欲しくなること必至です。
他レンズとの比較
SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN と近いポジションのレンズをまとめてみました。
SONY FE 24-70mm F2.8 GM II
- 焦点距離: 24-70mm
- 最大絞り: f2.8 (通し)
- 最小絞り: f22
- 絞り羽根枚数: 11 枚 (円形絞り)
- 最短撮影距離: 21 (W) – 30 (T) cm
- 最大径 × 長さ: φ87.8 mm × 119.9 mm
- 質量: 695 g
- 価格: ¥308,000 (価格コムだと約 ¥250,000 から!)
SONY の純正レンズで、SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN と比べて画質で優位な場面が多いです。その分重さや価格は可愛げがありませんが、持っていると間違いなく目を惹くレンズです。
SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
- 焦点距離: 24-70mm
- 最大絞り: f2.8 (通し)
- 最小絞り: f22
- 絞り羽根枚数: 11 枚 (円形絞り)
- 最短撮影距離: 18 (W) – 38 (T) cm
- 最大径 × 長さ: φ87.8 mm × 124.9 mm
- 質量: 830 g
- 価格: ¥132,000 (価格コムでも約 ¥130,000 から)
GM と同じ焦点距離を完備した Sigma のレンズです。SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN と比べてやや画質面で優位で値段も控えめ。ただし重量は GM II よりさらに重たく、サイズも大きいため、取り回しにやや難があります。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
- 焦点距離: 28-75mm
- 最大絞り: f2.8 (通し)
- 最小絞り: f22
- 絞り羽根枚数: 9 枚 (ほぼ円形絞り)
- 最短撮影距離: 18(W) – 38 (T) cm
- 最大径 × 長さ: φ75.8 mm×117.6 mm
- 質量: 540 g
- 価格: ¥104,500円 (価格コムだと約 ¥90,000 から)
SIGMA と並んで有名なサードパーティの TAMRON 製レンズ。広角は 28mm ですが、望遠は 75mm とやや長目なのが特徴です。SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN と比べると絞り開放時の画質はこちらの方が上だそうで、ボケ味の強い写真がお好みの方は選択肢に入りそうです。
まとめ
とにかく軽くて小さい。なのに f2.8 通しで写りもちゃんと綺麗。これがボクがこのレンズを愛用している一番の理由です。
α7C を購入する際、当時何も知らなかったボクはよりコンパクトなレンズキット「FE 28-60mm F4-5.6」を手に入れるつもりでした。しかし、レンズキットは F4 はじまりで暗く、ボクが望んでいた夜景撮影には不向きです。
あの時 SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN をオススメしてくれた北村写真機店の店員さんにはとても感謝しています。
カメラ初心者の方から、コンパクトなお出かけ用レンズをお探しの方まで、自信を持って幅広くオススメできる一本です。