最近 (今更) 『テラリア』を Steam で購入し、M1 Pro 搭載の MacBook Pro で遊んでいました。
序盤は快適に遊べていましたが、ゲームが進むにつれてプレイに支障をきたすほどの処理落ちが連続してしまうようになりました。
テラリアでみる M1 Pro の敗北
強い武器を使うと処理落ちする
テラリアはシナリオが進むほど、手に入る武器が強力になります。そして、強力な武器になるほどエフェクトもどんどん派手になっていきます。
30 時間ほどかけて、ボクはついに念願の武器「Resonance Scepter (共鳴のセプター)」を入手しました。入手難易度に見合った強力な性能を持ち合わせています。
![](https://tahein.com/wp-content/uploads/2024/04/mac_game_cant_00-1.webp)
そして、例に漏れず性能に比例して、エフェクトも激しいです。使用するとビビり散らかすほどフレームレートが下がります。体感 5 fps くらいまで (!)。ほとんど紙芝居状態で、まともな戦闘なんてできたもんじゃありません。
せっかく入手できたのに……。これはショックです。
![](https://tahein.com/wp-content/uploads/2024/04/mac_game_cant_01-1024x662.webp)
ここで、アクティビティモニタで共鳴のセプターを使用した瞬間の GPU 使用率を確認してみましょう。見事に100 % に張り付いています。
![](https://tahein.com/wp-content/uploads/2024/04/mac_game_cant_02-1-300x269.webp)
対して通常時はこちら。大体 70 % 程度といったところでしょうか。
![](https://tahein.com/wp-content/uploads/2024/04/mac_game_cant_03-1-300x269.webp)
そんな処置落ち中でも CPU 使用率は全然余裕があります。ボトルネックは GPU 側にあることがわかりますね。
![](https://tahein.com/wp-content/uploads/2024/04/mac_game_cant_04.webp)
オンランプレイでも処理落ちする
今思えば、強力な武器を入手する前から、処理落ちを体感するシーンがありました。それはオンラインプレイ中のことです。
特にオンラインでのボス戦は、味方の攻撃がドコドコ飛んでいくのでエフェクト量が桁違い。これによるフレームスキップが頻発していました。味方やボスモンスターらが瞬間移動する、オンラインゲームではあるあるな感じです。
でも、当時のボクはこれが処理落ちだとは思っておらず、回線に起因した同期ズレだと思っていました。ゲーム序盤は処理落ちを体験する機会がほとんどなく、まさかテラリアごときで処理落ちするなんて考えもしていませんでしたからね。
「フレームスキップ」をオンにすれば解決できる
一応、設定で「フレームスキップ」をオンにすれば、処理落ちを回避することができます。
ただし、処理落ち分のフレームを物理的に飛ばしているだけなので、ぬるぬる fps の画面ではプレイできないことに変わりないのが残念なところです。
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スペック不足ではなく、テラリア側の最適化不足?
さて、この処理落ち問題。おそらくですが、原因は M1 Pro のスペック不足ではないと思います。
なぜならテラリアは今から 10 年以上前の作品であり、さらに当時の水準でも軽いゲームだからです。
最適化された Windows であれば、M1 Pro と比べて約 8 分の 1 のグラフィック性能しかない「Core i7 8550U (UHD Graphics 620 搭載)」のラップトップですら、最も激しい戦闘シーンでも平均 50 fps 以上で張り付くことが以下の動画で報告されています。
M1 Pro が 8 倍のスペックを持ちながらこんなにも処理落ちしてしまうのは、流石に最適化不足が原因だとしか考えられません。
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Mac でゲームを快適に遊べる日は来るのか?
意外と早く来る気もするし、全然来ない気もします。
近年の Mac の性能は、ゲーム用途で考えてもそれなりに十分です。記事執筆時点で最上位の M3 MAX や M2 Ultra は、おおよそ RTX 3070 程度のゲーム性能だと推測されます。
これは、Windows 環境だとあの『モンスターハンター ワールド』をフル HD 画質で平均 120 fps 程度でプレイできる水準です。PS4 Pro でも 30 fps 維持できるかどうかの激重な作品ですから、とても高性能であることがわかりますね。
しかし、一番の問題はそもそも Mac 向けのゲームがリリースされるのか問題。そして、テラリアの例から分かるように、リリースされたゲームがちゃんと最適化されるのか問題です。
実は、Apple はこれらの問題を解決するために、2023 年に動きを見せています。それが、ゲームの開発者向けに提供された、「Game Porting Toolkit」の提供です。
![](https://developer.apple.com/news/images/og/games-macbook-og.jpg)
Game Porting Toolkit は既存のゲームを Mac 向けに簡単に移植できるようにするツールで、今後はこれを活用したゲームが Mac 向けにも提供されることが期待されています。
実は Game Porting Toolkit を活用して Mac 上で Windows をシミュレートする「CrossOver」というアプリケーションが存在します。
そして、この CrossOver を使えば、現時点でも M2 MAX でモンスターハンターワールドを 60 fps 水準でプレイできることが確認されていたりします。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124254977/rectangle_large_type_2_ba2e7c7337224f2b7df5783e6f538f0e.jpeg?fit=bounds&quality=85&width=1280)
とはいえ、あくまでこれは抜道的な方法で、やっぱり正式な対応を待ちたいというのが本音です。
Mac 向けゲームの展開は技術的にはおそらくすでに可能。そういう意味ではすぐに来てもおかしくない。一方で、わざわざ Mac 市場にデベロッパが踏み込んでくるのかどうか問題。こう考えるとまだまだ全然来ない気もする。
これが Mac におけるゲームの現状だと思います。