キングジムの PC スタンド「ノートパソコンスタンド」(NPS10 シル) を購入しましたので、レビューします。
キングジムの PC スタンドを選んだ理由
1. タイピング時、手首に干渉しないストッパーの設計
PC スタンドを選ぶ際、ボクが最も重要視したのがストッパーの形状です。
ボクはラップトップをスタンドに乗せた状態で、ラップトップのキーボードでタイピングしたい派。
以前に Boyata のスタンドを購入し、外付けキーボードと組み合わせて使ったことがありましたが、全くしっくり来ませんでした。
また Boyata のスタンドでは、タイピング時にストッパーが手首に強く干渉していまい不快感が強く、すぐに手放してしまった経験があります。
そのため PC の厚みよりも薄い、あるいは手首に干渉しない位置にストッパーがあるスタンドを探していたところで、このキングジムのスタンドを見つけました。
2. 16 インチ MacBook Pro に対応したサイズ設計
次に重要なのは、ラップトップのサイズ対応です。
ボクは 16 インチの MacBook Pro を使用しており、この大きなサイズのラップトップに対応したスタンドである必要があります。
キングジムのノートパソコンスタンドは 17 インチまで対応。この点もクリアしていました。
3. 持ち上げ不要の設計
持ち上げ機能がない設計であることも、ボクにとって重要でした。
先ほどに触れた Boyata のスタンドを使用した経験から、持ち上げる機構は、結局使わないことがわかっていたからです。
ラップトップを上げた状態で直接タイピングすると、肘を机から浮かせる必要があり、体に負担がかかります。
さらに、複雑な機構によって重量が増して持ち運びが不便になるうえ、稼働部分が増えることによって安定性が損なわれる可能性もあります。
キングジムのノートパソコンスタンドは、持ち上げ機能を排除したシンプルな設計で、ボクのニーズにぴったりでした。
4. 安心の日本メーカー
最近、中華製品でいくつかハズレを引いてしまい、日本メーカー製品が恋しくなっていました。
日本を代表する文房具メーカー、キングジム製なら安心だろうと思い、購入に至りました。
悩んだ製品
キングジムのノートパソコンスタンドと同じ条件を満たす製品は、他にもいくつかありました。
そのうちボクが検討し、結果選ばなかった製品を紹介しておきます。
1. エレコム ノートPCスタンド (旧型)
角度調節機能すらない超シンプルな設計で、当初はこれが最有力候補でした。
しかしこれは、すでに廃盤の商品で、ボクが Amazon で調べたときには中古品しか在庫がなかったため、購入を諦めました。
またカラーが黒という点も、白を基調としたボクのデスク環境にはマッチしそうになかった点もマイナスですね。
この記事を執筆している時点では新品の取り扱いが復活していたので、気になる方はチェックしてみてください。
2. エレコム ノートPCスタンド (新型)
先ほどの黒いモデルの後継機種が、こちらです。
しかし前面のストッパー側の構造に高さがあり、タイピングに悪影響を与えそうだったため、候補から除外しました。
3. キングジム 「ノートパソコンスタンドⅢ – NPS15 シル」
例外として、持ち上げ機能があるこの商品も、一時期検討していました。
通常の持ち上げ機能よりも一層高さを稼げるこの商品は、「どこでもスタンディングデスクとして使える」ことを売りにしています。
立って作業することが好きなボクにとっては魅力的に感じましたが、PC だけを持ち上げたところで、タイピング時に肘を置くデスク天板がなければ、結果的に疲れてしまうだろうと思い、購入を見送りました。
キングジム ノートパソコンスタンドの嫌いなところ
ここからは、実際にキングジム ノートパソコンスタンドを使用してのレビューです。
1. タイピング時に揺れる
机に直接 PC を置いている時と比べると、明らかに揺れを感じます。タイピングへの悪影響はほとんどありませんが、画面の揺れが気になりますね。
揺れが全く許容できない方にとっては、多少ストレスに感じられるかもしれません。
とはいえ個人的には許容範囲内だと感じています。それ以上に稼いだ高さで首が楽になるというメリットの方が大きいです。
2. 一番浅い角度でも、きつめ
このスタンドは 5 段階に角度を調整できますが、一番浅い角度でもすでにきつめなので、事実上 1 段階の角度しかないと考えた方がいいです。
角度がある分画面の高さは出ますが、タイピング時の腕の角度がやや不自然になってしまって、肩こりが誘発されているような気がします。
慣れの問題もあるかもしれませんが、個人的には今の一番浅い角度から半分の 12 ° くらいまで浅く調整できるといいなと思いました。
キングジム ノートパソコンスタンドの好きなところ
1. 手首に一切干渉しない
購入前の狙い通り、キングジムのこの PC スタンドは、タイピング時に手首に一切干渉しません。
MacBook Pro の筐体よりもストッパーの方が低い高さに設計されているためです。
ただし MacBook Air の場合は本体が薄すぎて、ストッパーの方が高くなってしまい干渉しました。タイピングの妨げになるほどではないものの、気になる場合は注意が必要です。
2. タイピング速度に影響がない
このスタンドを購入する前は、キーボードが斜めになることでタイピングしづらくなることを懸念していました。
特にボクはキーボードの変化に敏感で、慣れない環境ではタイピングがうまくできず、ストレスを感じることが多いです。
そこで実際に PC スタンドなしの場合と、スタンドを使った場合で『寿司打』を用いてタイピング速度を比較してみました。記録は全て一発取りとして条件を揃えます。
まずはスタンドなし、いつものスタイル。
続いてスタンドを使用した場合。
ほとんど違いは感じられませんでした。むしろビビるほどほぼ同じ。
計測後は正直ビビりました。というのも、スタンドありの状態だと、体感ではうまくタイピングできた感じが全然しなかったからです。
しかし数値は正直です。PC スタンドの有無がタイピング速度に影響がないことが、ここからみて取れますね。
ただし角度を 2 段階目にした途端、露骨にミスタイプが増えパフォーマンスが低下したため、タイピングを重視する方はやはり一番角度が浅い状態で使うことをおすすめします。
3. 想像以上に首が楽になった
一番浅い角度でも、かなりの高さを稼げます。正直、期待以上でした。
16 インチの MacBook Pro の場合、このスタンドを使うことで、比喩ではなくデスクトップ環境に匹敵する感覚で PC 作業ができました。
13 インチ MacBook Air の場合、一番浅い角度で使用した時、PC スタンドを使用しない 16 インチ MacBook Pro とちょうど高さが揃うようなイメージです。
これによって首が非常に楽になりました。
4. 軽量で持ち運びがしやすい
実際に現物を目にすると、想像以上に薄く、軽量な設計でした。
元々は家の中でしか使うつもりがありませんでしたが、これならカバンに入れて外出先でも気軽に使えそうです。
持ち運び用のポーチが同梱されている点も非常に Good ですね。
実は全く同じ製品が別ブランドから売られている
このスタンドを購入後に Amazon を見ていたところ、非常によく似た製品を見つけました。
それが「LOE」のパソコンスタンドです。
LOE は日本の神戸に本社を構える Bright Blue 社の D2C ブランドです。
D2C (Direct to Consumer) は、「Direct to Consumer」の略で、企業が自社の製品やサービスを中間業者を介さずに、直接消費者に販売するビジネスモデルを指します。D2C ブランドは、製造から販売までを自社で管理し、オンラインを中心にマーケティングや販売を行うことが多いです。
形状、サイズ、重量、素材のどれをとってもキングジムの製品とほぼ同じで、Amazon の登録日は LOE 製の方が約半年早いことがわかります。つまり、キングジムは LOE の OEM 製品を販売しているということでしょう。
LOE とキングジムとの違いは、持ち運び用ポーチが付属しているかどうかだけのようです。キングジム側にのみ、ポーチがおまけでついてきます。
対応 PC サイズについてキングジムは「17インチまで」、LOE は「15.6 インチまで」とされていますが、スタンド自体のサイズや重量が同じであることから、どちらも 16 インチ MacBook Pro に余裕で対応していると思われます。
定価は LOE の方が安いので、ポーチが不要な方は LOE 製を、ポーチが必要な方はキングジム製を選ぶのが最も賢い選択だと言えるでしょう。
PC スタンドなんかより外付けディスプレイを用意した方が 100 倍幸せ
というわけで、ボクの総評はこんな感じ。
- 手首に干渉しない (16 インチ MacBook Pro の場合)
- タイピング速度に影響のない、見やすい角度調整が可能
- 十分な高さを稼げ、首が楽
- 軽量で持ち運びしやすい
- タイピング時の揺れが気になる
- 一番浅いはずの角度でも、深く感じる
- 薄いラップトップの場合、手首に干渉するかも
角度調整に力も必要ないし、場所を取らず持ち運びもしやすいし、PC スタンドとしての出来栄えは十分だと思います。
しかし結局のところ、PC スタンドの存在そのものが中途半端な存在なのだと改めて実感しました。
スタンドで高さを稼げば、首は楽になります。けれどタイピングで肩が凝ります。
スタンドを使わなければ、肩は凝りませんが首が凝ります。
あちらたてればこちらがたたぬ、悲しきアイテム。それが PC スタンドです。予算や環境が許されるのであれば、間違いなく外付けモニタを購入するべきでしょう。
ではなぜボクは外付けディスプレイを買わなかったのか。それはボクが Apple Studio Display を狙っているからです。厳密に言えば、その次世代機。
Studip Display の 27 インチ、5K、218 dpi、グレア液晶は唯一無二の性能で非常に魅力的です。
でももう発売から 3 年が経っちゃってるんですよね。
せっかくなら最新モデル、発売ほやほやの状態のものが欲しいので、この先出るかどうかもわからない Studio Display 2 が登場するまで、ボクはディスプレイを買わないつもりでいます。
その苦肉の策が今回のキングジム ノートパソコンスタンドだったわけです。