効率厨なら今すぐダークモードから「ライトモード」に切り替えるべき科学的理由とは

ダークモードは格好いい。だからボクは、昔からのダークモードユーザーでした。

しかし今では一変して、ライトモードしか使っていません。なぜならライトモードの方が、あらゆる面で優れていることが科学的に実証されていることを知ったから。そして実際に試してみると、その優位性を体感することができたからです。

この記事では、ライトモードの優位性について詳しく見ていきましょう。

目次

ライトモードの利点

1. 視覚的な快適さと読みやすさ

ライトモードはダークモードに比べ、視認性が高く、作業効率を向上させることが研究で明らかになっています。

イギリスの学術書出版社 Taylor & Francis の Web ページに 2013 年に掲載された論文『Positive display polarity is advantageous for both younger and older adults』(明るい背景に暗い文字の表示が若年者と高齢者の両方に有利である) では、以下のように述べられています。

視力テストと校正タスクで、若年者と高齢者の両方に正の極性の利点が見られました。
明るい背景に暗い文字は、観察者の年齢に関係なく、より良い判読性を提供するため、強く推奨されます。

つまり、ライトモードの方が文字を読む速度が速く、誤字脱字の発見率も高かったということです。

このことから、ライトモードは仕事の上でもポジティブに働き、Web ブラウジングや電子書籍を楽しむ際にも有効であることがわかります。

2. ライトモードの優位性は「目の仕組みで説明できる

ライトモードが優れている理由の一つに、目の瞳孔の仕組みがあります。

瞳孔は、網膜への入り口です。瞳孔が収縮するとものがはっきりと見え、開くとぼやけて見えやすくなる特徴があります。瞳孔を細くすることで球面収差 (画像がぼやける現象) の影響を小さくし、被写界深度を増加させることによって起こる現象です。

この点はカメラの仕組みで考えるとよりわかりやすいですね。絞りを開放した F 2.8 よりも、極限まで狭めた F 22 の方がくっきり映る。これと同じことが、人体の目でも言えるわけです。

F 2.8 の写真。ピントがフィギュアに当たり、背景が大きくぼやけています。
F 22 の写真。ピントが全体に当たり、背景までくっきりと写っています。

さて、そんな瞳孔は、明るい環境では収縮して細くなり、一方で暗い時には拡張して多くの光を取り込むようになります。

つまり明るい画面 = ライトモードを見ると瞳孔が収縮するので、自然と画面がはっきり見えるというわけです。

またコジマ・ピーペンブロック、ズザンネ・マイヤー、アクセル・ブフナーらによる研究『Positive display polarity is particularly advantageous for small character sizes: implications for display design』(小さな文字サイズにおいて、ポジティブディスプレイポラリティは特に有利である:ディスプレイ設計への影響) によれば、画面に表示されるテキストがば小さくなるほどに、ライトモードの方が優れた判読性をもたらすこともわかっています。

さらに乱視持ちの場合、ダークモードは「ハレーション効果」によってさらに文字が読みにくくなってしまうことが、ユーザーエクスペリエンスの専門家 H・ロック氏によって示唆されています。

全成人済みの人口のうち約 40.4 %が乱視持ちとされるため、約半数の人にとって、ダークモードは視認性低下をもたらす恐れがあります。ボクも乱視を持つうちの一人で、この影響を特に感じています。

一方で、白内障などで中間透光体に混濁がある人は、ダークモードの方が見やすいという研究結果もあります。

ダークモードで眼精疲労が起きづらくなるという誤解

ダークモードは目への負担を減らし、眼精疲労が起きづらくなると言われることがあります。しかし、ダークモードが眼精疲労に有効であることを示したデータは、今のところ見つかっていません。

むしろ先述の通り、ライトモードの方が目の負担を軽減し、眼精疲労を抑える可能性があることが示されています。

もちろん寝室などの暗い環境では、周囲との光量の差でダークモードの方が優れる場面もあります。

ライトモードのデメリット

最強とも思われるライトモードですが、いくつか欠点もあります。

1. 近視になるリスク

アンドレア・C・アレマン、ミン・ワン、フランク・シェーフェルらによる研究『Reading and Myopia: Contrast Polarity Matters』(読書と近視:コントラストの極性が重要である) によって、ライトモードを長時間使用することで近視のリスクが高まる可能性があることが示唆されています。

これは、ライトモードが網膜の OFF 経路を過剰に刺激し、最終的に網膜の厚さを減少させるためです。一方、ダークモードは網膜の ON 経路を刺激し、近視の進行を抑える効果があるとされています。

2. バッテリー消費のリスク

ライトモードはダークモードと比較して、バッテリーの消費が多くなる場合があります。

しかしダークモードがバッテリー消費で優位性を発揮するのは、デバイスのディスプレイが OLED (有機 EL) であり、なおかつ映される画面が「完全な黒」(#000000) の割合が多い時に限った話。一般的なディスプレイが黒色を表現する場合、物理的に光を遮ることで対応しますが、OLED は自身が発光しないことで対応するためです。

OLED 搭載のデバイスは徐々に増えてきていますが、まだ主流とは言えません。また多くのダークモードは完全な黒ではなく、濃いめのグレーが採用されることが多いです。

したがってバッテリー消費の違いに影響が見られる場面は、極めて限定的だと言えるでしょう。

3. デザインの犠牲

ある意味で最も大きな問題が、デザインの犠牲、言い換えれば好みの犠牲です。

見た目の好みは重要な要素であり、ライトモードが視覚的に優れていても、デザインの好みを無視して使い続けるかどうかは個人の判断に委ねられます。

ボクも好みはダークモードですが、少なくとも今は完全にライトモードに移行しています。効率厨なので。

まとめ

ライトモードはほとんどの人にとって、目の疲れを軽減し、生産性を向上させるための優れた選択肢です。特に乱視や長時間の作業が多い人にとって、ライトモードは視覚的な快適さを提供します。

近視のリスクや暗い環境での使用におけるデメリットはありますが、適切な設定や使用方法を工夫することで、その利点を最大限に活用することができます。

ぜひライトモードを試してみて、効率厨としての第一歩を踏み出しましょう。

もちろんより効率を求めるために、高性能な PC の力を借りることや、自分の集中力を高めることも重要です。詳しくは過去記事を参照してみてください。

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