今回レビューするのは、Apple 純正の「Magic Mouse」。
ネットでは「使いにくい」と言われることの多いこの製品。確かに、薄くて握りにくそうな形をしているし、充電方法も独特です。
けれど私は、かれこれ 5 年以上、このマウス一筋で使い続けています。使いにくいどころか、むしろ手放せない理由があるのです。
あれやこれやとハイエンドなマウスを使ってきた私が、この貧相なマウスにそこまで魅了されている理由とは。
今回は、長年使ってわかった Magic Mouse のリアルな魅力と欠点を率直に語りたいと思います。
Magic Mouse のメリット
劣化しない素材

多くのマウスには合成樹脂が使われていて、月日が経つと「加水分解」または「ブリード現象 (ブリーティング)」によってベタベタ、ぬちゃぬちゃしてしまいます。
私が Windows ユーザー時代だった頃に使っていた、「ロジクール M705 (初代)」や「Microsoft Surface Precision Mouse」、また他の人が使うシーンをよく見てきた「ロジクール MX Master」のようなハイエンド品であっても同様です。
潔癖症気味の私にとって、素材が劣化したマウスはたとえ自分のものであってもあまり触りたくない代物と化してしまいます。
一方の Magic Mouse は表面がガラス、ベース部分はアルミ製です。そのため加水分解やブリード現象といった「不快」とは無縁。いつまでも購入時そのままの快適性が担保されているのです。
スムーズなスクロール

ご覧の通り、Magic Mouse にはスクロールホイールがありません。
その代わりに、Magic Mouse ではスマートフォンのように、表面を撫でてスクロール操作を行います。この操作感がとてもいいです。
私はスクロールホイールは、「カリカリ」するやつよりも、「ツーっ」と回り続けるタイプが好みでした。「Microsoft Explorer Mini Mouse」のようなね。理由は一度の動作で、大量のスクロールができるから。また画面がカクカクとせず、滑らかに動くから。
Magic Mouse の操作感や画面への影響は、それに近い操作感が再現されています。つまり非常にスムーズで、とても快適だということです。特にブラウジングやドキュメント操作では他のどのマウスよりも気持ちがいいです。
また、横スクロールも同様の操作で実現できる点でも優れています。直感的で操作しやすい上、横スクロールでも滑らかな画面遷移が実現されているマウスは、まだ世にも珍しいのではないでしょうか。
案外いい握り心地

Magic Mouse は人間工学をまるで無視したかのような形状をしています。
握れるような厚みはなく、一見すると長時間使用で疲労が溜まって手首を痛めてしまいそう。
しかし、少なくとも私はそうではありませんでした。むしろ先にも出てきているような Microsoft Explorer Mini Mouse や Surface Precision Mouse のようなゴリゴリに人間工学を重視したマウスらと比べても、変わらない快適さで使うことができています。
実際のところ、この点については自分でも理解が追いついていません。理論的にそんなことが起こるはずないのに、でも事実として使いやすいと感じているのです。
これは私が Magic Mouse とたまたま相性がいいだけの可能性もあります。トラックボールの「ロジクール MX ERGO」が私には全く合わなかった、その逆転現象として。

持ち運ぶ上でコンパクト

Magic Mouse は薄く、軽い。持ち運ぶ上で非常に優秀な形状をしていて、カバンやポケットにスッと入れられ、スッと取り出すことができます。
私はトラックパッドでの操作が好きではないので、外出先でもマウスが必須。この携帯性の高さは地味ながらも、評価すべきポイントの一つとなっています。
ホイールやサイドボタン等の部品もないため、ある程度雑にポケットへ放り込んでも壊れなさそうだという安心感もあります。
Magic Mouse のデメリット
Magic Mouse は総合的にとても気に入っている製品ですが、一方で不満点も多くあります。大半が「好き」で構成されていた「Magic Keyboard」とは違った感想を抱いているということになります。

細かなスクロール調整が難しい

「スクロールのスムーズさ」が好きポイントの一つだと上で述べましたが、これが裏目に出ることがあります。
それは、特にゲームをする時に顕著に現れます。例えば『Minecraft』や『テラリア』でアイテムを選択する際、私はマウスのスクロールを使う派です。
しかし、Magic Mouse ではこの操作を行うことは不可能と言って差し支えありません。細かいスクロール量の調整が難しすぎるため、狙ったところでカーソルを止めるのが至難の業になるからです。
普段の事務作業では精密な操作が求められることがほとんどないため気になりませんが、ゲーム用途に使おうと思ったその瞬間に、Magic Mouse はカス製品へと一変します。
“Wow, It’s a magic! lol”
Mac 切り替えにはケーブルを繋ぎ直す必要がある

Magic Mouse も Magic Keyboard と同様に、Mac を切り替えるためには USB ケーブルで繋ぎ直す必要があります。ボタン一つで切り替える芸当など夢のまた夢。
いちいち繋ぎかえるのはキーボード以上に面倒くさいので、私は Mac 1 台につき、Magic Mouse を 1 つずつ用意して運用しています。2021 年に新・旧モデルの比較記事を出しているように、つまり現状 2 台持ちです。

充電中の姿が、セミファイナル

そして、これは誰もが指摘していることですが、充電中に使用できなくなるのが本当にアホらしい。
なぜ死んだ蝉のような格好をさせて充電しなければならないのでしょうか。
幸いにもバッテリー持ちは馬鹿みたいにいいし、バッテリー残量が減ると Mac が通知してくれるため、実際に充電切れが原因でMagic Mouse が使えなくなったことは、これまでに一度もありませんでした。
けれども、充電ポートをもっと合理的な配置にするべきだろうと、何年経った今でも思ってしまいます。
まとめ
Magic Mouse は、間違いなくクセのあるマウスです。ハマる人にはハマるし、そうでない人にはとことんハマらない、そんな存在だと言えるでしょう。
ですがそれ以上に、美しさと操作感のバランスが取れた唯一無二の存在でもある点は強調しておかなければなりません。
批判されがちな製品ではあるものの、私にとっては気に入っている部分が非常に多いため、これからもずっとこのマウスを使い続けるつもりです。
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