M1 Pro の登場から 4 年もの年月が経過しました。私が M1 Pro の MacBook Pro を購入したのはその約半年後で、使い始めておよそ 3.5 年になります。
にも関わらず、私の M1 Pro MacBook Pro は今でも現役バリバリ。
これは、無理して使い続けているのでしょうか? あるいは、いまだに満足しているのでしょうか?
長期レビューの観点も踏まえながら、記していきます。
M1 Pro MacBook Pro 長期レビュー
4 年経っても現役か? 快適なワークフローはいまでも顕在

早速結論を述べますと、M1 Pro の MacBook Pro に何一つ不自由していません。登場から 4 年が経とうとも、その素晴らしさは不変なのです。
macOS が Tahoe になって、動きがどこどなく緩慢になった感は正直あります。たとえば Finder を操作するときのフレームレートが下がっているなど。
だからと言って、日常的なタスクや仕事をこなす上で何か支障があるかというと、(macOS 自体の不具合を除いて) ほとんどないのです。
私の用途は「ミドル級」、M1 Pro はそこにジャストフィット

「どうせ軽いタスクしかこなしてないんだろう?」と思われた方、半分正解で半分不正解です。
私が頻度高くこなしているタスクをざっくりとまとめるとこんな感じ。
- PowerPoint による資料作成
- Excel でピボットテーブルを用いたクロス分析
- Word による原稿執筆や校正
- Illustrator や Photoshop によるデザイン制作、編集
- Lightroom による写真編集
- Premiere Pro や Final Cut Pro による動画編集
- Zoom や Teams、Slack、Discord によるチャットやオンライン会議
- OBS による画面収録や配信
- Apple 純正アプリの利用 (メッセージ、メール、リマインダー、メモ など)
要するに、一般的な事務作業より重たいけれど、CG 制作やローカル AI のようなガチ作業よりは軽いといったところ。
まさしくミドルエンドな作業内容といったところでしょう。
そして、これらの作業において、M1 Pro で性能不足を感じる場面は年に 1 回以下のペースでしかありません。
一方、今でも M1 MacBook Air を持っていますが、これではちょっと物足りないと感じる場面が多々あります。
こうした実情からも、M1 シリーズのミドルエンドに当たる M1 Pro は、名実ともに私にとってちょうどいい性能だったのです。
MacBook Pro ならではの優位性: SD カードスロットと HDMI ポート

仕事柄、取材や映像の現場に入る機会がしばしば訪れます。
前者の場面では写真を撮って出しで納品する際 SD カードスロットが、後者では V 出しなどで HDMI ポートが大活躍しますし、役に立ちます。
特に HDMI ポートは重要です。USB ハブでは電力供給や帯域が足りずに不具合が起きやすいところ、内臓 HDMI ポートなら心配無用で対応できますからね。
これらのスロットは、M1 シリーズ以降では 14 インチ以上の MacBook Pro にしか搭載されていません (デスクトップ系を除く)。
どちらも私には必須な機能なので、仮に M1 の性能で十分だったとしても、MacBook Air の選択肢を取ることのできない理由になっています。
M1 Pro に不便さを感じる場面はないのか?

これまでに述べてきたとおり、不便に感じることや、困ったことはほとんどありません。
しかし、「もっと速ければな」と思う場面もあるにはあります。
一番は、Lightroom で AI ノイズ処理をするとき。
私は夜景スナップが趣味の一つ。暗い場面では ISO を上げて撮らざるを得ないので、AI ノイズ処理の出番が頻発します。この処理に時間がかかるんですよね。もっと速くなってくれればそれに越したことはありません。


次に思うのは、Photoshop でアートボードを複数作成したとき。
アートボードを移動させたり表示を切り替えたりするときに限って、馬鹿みたいに重たくなります。ド頻繁に触るものでもないので我慢できる範疇ですが、これがもっとスムーズならなと思うことは当然あります。

あとはゲームをするには厳しいくらい。日常的なタスクをこなす上ではこれ以外に記憶にありません。
それでもこの性能を、省電力で持ち歩けるってとんでもないことですよ。

2025 年の今、中古で M1 Pro を入手する選択肢はありなのか?
「中古」が気にならないのであれば、むしろおすすめ

まず誠実さを示すために私の見解を述べておきます。私は絶対に中古では買いません。
ただしそれは、性能面等で懸念があるからではありません。単純に私が新しい物好きであり、そして潔癖症なので、他人が触れた PC を使いたくないからです。
もしそうでないなら、むしろ選択肢として、今でも大いにありだと思います。
M1 Pro MacBook Pro の中古価格は、記事執筆時点で大体 15 万円前後。同時点の最新 M4 Pro モデルの新品価格は、約 32 万円から。2 倍近い価格差があります。
もちろん、最新モデルは性能が一層向上しています。特に CPU、NPU 性能の差は顕著です。
- M4 Pro は、M1 Pro に対して x 倍速い (ベンチマーク)
- CPU シングル: 1.54 倍 (Cinebench 2024)
- CPU マルチ: 1.72 倍 (Cinebench 2024)
- GPU: 1.2 倍 (iGPU-FP32 パフォーマンス (単精度 GFLOPS))
- NPU: 3.45 倍 (AI-Benchmark)
しかし、そのスペックを本当に使い切ることができるかどうかは別問題。
様々な現場で酷使している M1 Pro、それも RAM 16 GB の小容量であっても、私はまだ以て余しているような気がしています。
15 万円で大半の作業が快適に行えるのだとしたら、これほどコスパの良い話はありません。
セキュリティの懸念もクリアできる

さらに重要なのは、M1 シリーズは macOS のサポートを今後しばらく受けられそうであるということです。
一部のモデルに限られているとはいえ、2025 年リリースの最新 macOS 26 Tahoe ではまだ、Intel 搭載 Mac がサポート対象です。
Apple シリコンの M1 と、Intel CPU の間には、歴然たる性能差があります。そんな Intel CPU 搭載 Mac であってもサポートが続いている今、M1 のサポートはまだしばらく続くであろうことは想像に難くありません。
また、もし最新 OS のサポート対象外となっても安心できます。過去 Apple は、最新から 2 世代前の OS までを対象にセキュリティアップデートを続けています。Tahoe が最新の現在、2 世代前の Sonoma がその対象になっているように。
そういう意味で、仮に Tahoe が M1 シリーズをサポートする最後の macOS だったとしても、少なくとも今後 3 年間は安全に使用し続けることができることが保証されているのです。
メモリ比較: 16 GB VS 32 GB

さて、私は 2 台の M1 Pro 搭載 MacBook Pro を、どちらもメイン機として使用しています。
一台は仕事用で、14 インチ。メモリは 16 GB を搭載。
もう一台はプライベート用。16 インチで、メモリは 32 GB。
重たい作業や、マルチタスクをこなす機会が多いのは、仕事で使用する14 インチ、メモリ 16 GB の方です。
そこでは常に Google Chrome、PowerPoint、Excel、Slack、Teams、Zoom などの必須アプリケーションが常駐しています。その上で、激重な PSD ファイルや AI ファイルを弄ることも日常茶飯事です。同時に写真や動画だって編集することだってあります。
そんな使い方をしていても、メモリ不足を感じた場面はほとんどありません。何度かあったことは記憶していますが、今となってはそれがいつだったかを思い出すことは不可能。それほどまでに、困ることが少ないのです。
とはいえ、アクティビティモニタを見るとメモリに余裕はありません。macOS のメモリ圧縮技術が無理やり動かしているんだなあと感じる筆頭のシーンです。
一方のプライベート用 16 インチ。メモリ 32 GB を使い切った場面は限定的です。Affinity Photo で写真の Raw データを大量に開いたときは不足しましたが、それ以外で足りなくなったことはまだありません。


スワップ使用によって SSD にダメージが加わるリスクを軽減できるメモリ 32 GB の方が精神衛生的には優れるものの、購入時のコストカット的な観点で言えば、よほど特殊な使い方をしない限り、メモリ 16 GB が最適解たり得たのだと知りました。
それを知った上で、私は次に Mac を購入するときも、32 GB 以上のメモリを選ぶと思いますけれどね。理由は精神衛生上の問題です。非合理的だとしても、気兼ねなく使える方が私にとっては重要ですから。
サイズ比較: 14 インチ VS 16 インチ

3 年間以上使ってきて、14 インチと 16 インチのどちらが優れているかの結論が出ました。
私が出した結論は、「使用者の好みによって、その回答は二極化する」です。
結局のところ、どれだけ長く使っても、それぞれのサイズの良し悪しは下馬評でも語られる内容が全てでした。
つまり、16 インチは画面が大きくて作業には便利だけれど重たく、大きいため移動に不便。一方の 14 インチはその反対。それ以上でも以下でもなかったのです。

私がよく持ち運ぶのは仕事用の 14 インチの方で、確かにコンパクトでカバンを選ばずに移動できる点でメリットを感じる場面は多くあります。
しかし、それ以上に 14 インチの狭い画面は作業時に強いストレスがあり、そのストレスは持ち運びのメリットを上回っています。ウインドウを 2 枚横並びにした時の PowerPoint の作業スペースの狭さは凄まじく、筑波サーキットくらいしかありません。
よって次に買い換えるときは、迷わず 16 インチを選びます。私には 16 インチの方があっていました。
当然 16 インチはデカすぎて嫌だという人も多くいますから、結局初めに述べた通り、個人の好みになってしまうということですね。
なお、M1 Pro においては 14 インチであってもサーマルスロットリングの心配はないので、純粋にどちらのディスプレイサイズが好みかで決めて大丈夫です。
私はモデルチェンジが噂される 2026 年に買い替えるのか?

もしかすると、仕事用の方は買い替えるかもしれません。
頻繁に持ち運んでいるため、バッテリーが流石にへたってきているからです。2026 年の半ばを過ぎる頃には買い替え時になっているでしょう。
その際は前述のように、16 インチ、あるいはそれに相当するサイズで購入するつもりです。
一方、プライベート用の方を買い替えるかは、その時になってみないとわかりません。今の所、あまりその必要性は感じていませんから。
理由はここまで述べてきた通りで、M1 Pro に全く不自由をしていないためです。
まとめ

- 4 年経ってもなお、性能・安定性・I/O の完成度が高く、買い替えを急ぐ理由がない
- メモリ 16 GB でも十分、32 GB は精神的な安心感
- macOS サポートもまだ数年続く見込み
- 中古市場でも依然価値が高い
M1 Pro の発売後、徐々に円安が加速していきました。M1 Pro 発売当時も M1 発売時点よりドル円相場が不利に働いていましたが、今ほどではありません。M1 Pro MacBook Pro は性能面だけでなく、価格面も含めて、ユーザー体験そのものが熟成されていた時代の象徴だと思います。
幸い、世代的には 4 世代も型落ちになった影響で、中古市場ではかなりお得に購入可能。
Mac デビューとして、M1 Pro MacBook Pro は、今でも非常におすすめできる商品です。
M1 Pro MacBook Pro に関する Q&A
M1 Pro と M4 Pro ではどれくらい性能が違う?
ベンチマーク上で CPU 性能は最大 1.7 倍、GPU 性能は最大 1.2 倍、NPU 性能は最大 3.5 倍の性能差があります。しかし一般的な使い方であれば、M1 Pro に不足に感じることはほとんどありません。
メモリ 16 GB と 32 GB で迷ったら?
よほど重い作業をしない限り 16 GB で十分です。精神的な余裕を求めるなら 32 GB がおすすめです。
14 インチと 16 インチで迷ったら?
持ち運び時間と作業時間、どちらを快適にしたいかで決まります。私は作業時間を有意義にしたいので 16 インチ派ですが、個人の好みによって大きく見解が分かれます。
中古で今から M1 Pro を買うのはアリ?
状態と価格次第で「大いにアリ」。macOS のサポートも当面継続見込みです。
【余談】M1 Pro がどれほどすごいのかを語りたい
ここで M1 Pro の始祖である、M1 チップについて思い返してみましょう。
2020 年 10 月に登場したそれは、今や古い印象を持たれるかもしれませんが、当時は「コンピューティングの革命」だの、「ゲームチェンジャー」だのなんだのと持てはやされていました。
しかしそれは決して大袈裟な表現ではありません。私も発売初日に MacBook Air を入手したわけですが、あまりの感動を今でも覚えています。
性能的にも、当時は M1 でほとんど十分でしたから、そのとき所有していた Windows のデスクトップ自作 PC はもはや不要と判断し、売却するに至りました。
なにせ YouTube でのゲーム実況配信が、MacBook Air の激薄ファンレス筐体で実現できたのです。安定した配信を行うにはドデカデスクトップ PC 一択みたいなところがありましたから、その常識を覆したインパクトの大きさは計り知れません。
さて、M1 Pro は、そんな M1 チップを物理的に 2 つくっつけたようなチップです。それにより、CPU マルチ性能や GPU 性能がなんとおおよそ 2 倍に跳ね上がります。
つまり、当時の Windows デスクトップにおけるハイエンドクラスの CPU と、ミドルレンジクラスの GPU 性能が、14 インチなり 16 インチの小さな筐体に詰めこまれることになったのです。
そんな性能があれば、私のような一般的なタスクをこなすなど、造作もないことであることがよくわかりますね。
もちろん、美麗な 3D グラフィックを有するゲームをプレイしたり、3D CG 制作、ローカルで AI をぶん回すには、パワーが足りませんよ。
それでも、今の私はそうした用途のニーズがありません。
プライベート用の M1 Pro 搭載 16 インチ MacBook Pro を新しいものに買い替えたいと思わないのは、こうしたところに理由があって、むしろ日に日に愛着が湧くばかりです。
見た目から何から何まで大好きなんですよね、スペースグレイの 16 インチ MacBook Pro。本当に買って良かったと思っています。




