【Mac】WWDC を目前にした今、M1 MacBook Air を買う価値はあるのか?

あると言わざるを得ない。

M1 MacBook Air の発売が 2020 年 10 月。早いもので、すでに 1 年と 6 カ月が経過しました。

「コンピューティングの革命」などと叫ばるなど界隈に騒乱を生んだ M1 でしたが、その後「M1 Pro」「M1 MAX」「M1 Ultra」と M1 の上位機種が続々登場。さらに Intel 第 12 世代 CPU の台頭など、M1 の影が徐々に薄くなってきている感は否めない今日この頃。

そんな 2022 年も中盤に差し掛かろうとした今。6 月に WWDC 開催を目前とした、今。

まだ M1 MacBook Air を購入する価値はあるのでしょうか? 噂される M2 を待った方がいいのでしょうか?

結論から申し上げると、もしも今 Mac を必要としているのなら、WWDC を待たずして M1 MacBook Air を購入した方がいいと思います。

一体なぜなのか。

今回は、今でも M1 を買っても後悔しない可能性が大であると言える仮説を、

  1. 「M2 の性能予測」
  2. 「M2 の価格予測」

の 2 軸でお話ししていこうと思います。

目次

1. M2 の性能を、iPhone の性能向上から予測する

Photo: Apple

M1 もとい Apple Silicon は、iPhone 12 シリーズに搭載の SoC「A14」をベースに設計されています。

M1 の次世代チップと言われている M2 が、M1 と同様に「A15 (iPhone 13 に搭載された A14 の後継 SoC)」をベースに作られるかどうかはともかくとして、iPhone の性能向上と似た上昇率で、Mac 向け Apple Silicon の性能も上がっていくものと予測することができます。

iPhone 12 シリーズから iPhone 13 シリーズへの進化具合が、M1 から M2 の進化具合になるだろうと、つまりそういうことです。

では早速 iPhone の性能上昇率を確認していきましょう。今回は iPhon e の中でも最高スペックを誇る Max シリーズを検証に用います。対象機種は「iPhone 12 Pro Max (A14)」「iPhone 13 Pro Max (A15)」、そして「iPhone 11 Pro Max (A13)」とします。

Photo: Apple

iPhone 11 Pro Max を加える理由は SoC 製造プロセスの違いにあります。iPhone 12 Pro Max (A14) と iPhone 13 Pro Max (A15) はどちらも 5 nm (ナノミリメートル) プロセスで製造されています。対する iPhone 11 Pro Max (A13) は 7 nm。最新チップと比べると 2 nm 大きな製造プロセスでした。

プロセスサイズが変わると何が変わるのか。ざっくりと説明すると、プロセスサイズが小さければ小さいほど性能や省電力性が向上します。世代間でプロセスサイズが変わると性能差も大きくなりやすいということですね。よって、iPhone 11 世代 から iPhone 12 世代 への進化具合が、iPhone 12 世代 から iPhone 13 世代のそれよりも激しかった説が濃厚です。

さて、M2 は 4 nm プロセスで製造されると噂されています。現行の M1 は 5 nm の製造プロセス。1 nm 分微細な製造プロセスになりそうとのことで、M2 にはそれなりに大きな性能向上が期待できるというわけです。

iPhone CPU ベンチマーク比較

まずは CPU 性能を比較します。

前提知識として、CPU ベンチマークでは「シングルコア」と「マルチコア」の二つの項目を計測します。

シングルコアは主に通常利用時の性能を表しています。この数値が高いほど、Web ブラウジングやアプリの切り替えなどの動作がサクサク快適になります。

対するマルチコアは、画像や動画編集、ゲームプレイ時などマシンに負荷がかかる際の性能を表しています。この数値が高いほど、複雑な処理を得意とします。

今回はM1 の性能も計測できる 「Geekbench Score」の結果を見ていきます。

まずはシングルコアの結果に着目してみましょう。

7 nm プロセスの iPhone 11 Pro MAX (A13) から 5 nm プロセスの iPhone 12 Pro MAX (A14) への性能上昇率は約 20 %です。一方同じ 5 nm プロセス同士の iPhone 12 Pro MAX (A14) から iPhone 13 Pro MAX (A15) への性能上昇率は約 12 % という結果。

続いてマルチコアの結果を見ていきます。

iPhone 11 Pro MAX (A13) から iPhone 12 Pro MAX (A14) にかけてはこれまた約 20 % の性能上昇。意外なことに iPhone 12 Pro MAX (A14) から iPhone 13 Pro MAX (A15) にかけては約 25 % 近い性能上昇率を示しました。

これらの結果から、M2 の性能は M1 に対しておおよそ 10 %〜20 % の性能上昇になると予想できます。

特にマルチコアのスコアは上がりやすいのかも知れず、より複雑なタスクを得意とする可能性は高そうです。

iPhone GPU ベンチマーク比較

続いてグラフィック性能です。この性能が高ければ、動画編集やゲームなどがより軽く行えるようになります。

iPhone 11 Pro MAX (A13) から iPhone 12 Pro MAX (A14) にかけては約 50 % の性能アップiPhone 12 Pro MAX (A14) から iPhone 13 Pro MAX (A15) にかけても約 50 % の性能アップを実現しています。

M2 も M1 と比べて 50 % 前後のグラフィック性能向上が期待できると言えそうです。

予想性能上昇分で、何がどれだけ変わるのか? M1 Pro と比較して確認

Photo: Apple

まとめると、M2 は M1 と比較して、CPU 性能は 10〜20 % ほど。GPU 性能は 50 % ほどの性能向上が見込めるということになります。

現行の M1 MacBook Air のベンチーマークスコアは

  • CPU (シングルコア): 1706
  • CPU (マルチコア): 7418
  • GPU: 21001

となっています。

よって、M2 で期待できる数値は

  • CPU (シングルコア): 1876〜2047
  • CPU (マルチコア): 8160〜8902
  • GPU: 31502

といった具合になります。

これらの数値に近いWindows 用パーツを検索すると、

  • CPU (シングルコア): Intel Core i9-12900K (Score: 1991)
  • CPU (マルチコア): intel Core i7-11700 (Score: 8668)
  • GPU: NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti (Score: 30624)

です。M2 のシングルコアは相変わらず最新世代のハイエンドもびっくりなスコアになりそうな予感。マルチコアは 1 年前のミドルハイ相当ですね。GPU は 5 年前のハイエンドと同等。RTX 3060〜RTX 3060 Ti くらいとも言えます。

こうしてみると M2、とんでもないですね。

さて、では M2 の予測値と、現行の M1 Pro とで性能を比較するとどうでしょうか。

CPU シングルコアの性能を除いて、M1 Pro が優れています。特に GPU の差は圧倒的です。

この結果から、M2 は M1 と変わらず、日常使いに適切なマシン。よりクリエイティブな使い方を目指す場合、M2 を待つよりも M1 Pro 以上のマシンを買った方が良いということになります。

では現状の M1 で日常使いに不便があるかというと、全くそんなことはありません。M1 の時点で簡単な 4K 動画編集はもちろん、Web ミーティングをしながら別作業をするなど、比較的重たい作業でも難なくこなすことができます。

性能が高い分に越したことはないですが、M1 の時点でも感動レベルの体験は約束されています。あなたがいますぐ PC を必要としているなら、20 % の性能上昇を待つよりもいますぐ買ったほうが良い可能性は十分にありそうです。

2. M2 は値上がりの可能性がとても高い

今の社会情勢はとても不安定。M2 世代の Mac が値上がりしてもおかしくない状況であると言えます。

Apple は製品の世代ごとに値段を変えてくる

直近 4 世代間における歴代 Apple 製品の価格推移をまとめてみました。

調査対象は次の 5 製品。MacBook Air にグレードが近いイメージのある製品一覧です。

  1. MacBook Air
  2. iPhone
  3. iPhone SE
  4. iPad
  5. iPad Air

結果はこちらのグラフの通り。意外かもしれませんが、MacBook Air のみが右肩下がりを示しています。

「え、それなら M2 搭載モデルも値下がりするんじゃないんですか?」

可能性としてゼロではありませんが、その他製品はいずれも右肩上がりである事実も忘れずに考慮する必要があります。

特に注目すべきはプロセッサメーカーの違いです。値下がり傾向にあった MacBook Air は最新モデル以外 Intel 製プロセッサを搭載。その他値上がり傾向の製品はいずれも常に Apple 純正のプロセッサが搭載されています。

M2 は Apple が開発した M1 の後継機。つまり Apple 純正のプロセッサです。

このグラフの傾向から、M1 で打ち立てた実績に自信を持った Apple が M2 の販売価格を上昇させてくる予感がぷんぷんします。

円安の影響

2022 年 4 月現在絶賛進行中の円安も、MacBook Air の値段に不利に働く可能性があります。

実際に、かなりの円安となった 2014年 〜 2015 年にかけて Apple 製品の値上げが積極的に行われた過去があります。当時の記事を一例として引用します。

ちなみに当時の為替を振り返ると、 2014 年は 100 円台前半。2015 年は 120 円台前半でおおよそ推移しました。

これに対して直近の 2021 年は、2014 年と同じ 100 円台前半でスタート。そして 2022 年 4 月にはついに 129 円を突破する超円安状態に突入

2022 年の為替事情は 2014 年〜2015 年ごろ以上にネガティブな状況なので、値上げにつながる可能性は高いとみざるを得ないでしょう。

石油価格高騰、半導体不足の影響

ウクライナ情勢を巡った石油価格の高騰がさらに値上げ予想に追い討ちをかけます。世界的な石油価格が高騰が、製造コストや輸送コストに悪影響を与えているためです。すでに数多の製品が値上げラッシュにさらされていることは、皆さんもご存知の通り。

当然 Apple もこの影響を受けるものと考えるべきでしょう。

また、相変わらず継続中の半導体不足問題も価格に転嫁される可能性がゼロではありません。

Apple は特殊なサプライチェーンで市場の半導体不足の影響を受けづらいとされることがありますが、多かれ少なかれ確実に影響を受けています。なぜなら 2021 年 10 月に発注した iPad 無印が、半導体不足を理由に 2022 年 4 月にようやく納品されたという経験を生で体験しているから。

前述した世代交代や為替の影響と違って石油価格高騰や半導体不足による値上げの歴史は今のところありませんが、今後反映されてもおかしくない指標ではありそうです。

余談ですが 2022 年 4 月現在はApple の第二四半期期間中。第三四半期は 6 月末からのスタートになります。以前為替の影響で値上がりした時には期とか関係なく値上げしていますが、一番考えやすい値段変更のタイミングはこの期が移行するタイミングでしょうか。

値上げ覚悟で最新モデルを待つか、旧モデルで妥協するかの選択

以上、まとめると「値上げ覚悟で最新モデルを待つか、旧モデルで妥協するか」の選択をすることになりそうだということですね。

前述の通り、M1 でも日常使いには十分すぎる性能があります。そして、よりクリエイティブな作業をするためには M2 を待つよりも M1 Pro 以上搭載モデルの方が優位になる可能性が非常に高いです。

M2 搭載 MacBook Air は見た目がダサくなる説もあります。

イケてるデザインでそれなりに高性能・めちゃ省電力・そして安い M1 MacBook Air は、発売から 1 年 6 カ月が経過した今でも色褪せることなく、おすすめな PC であることに変わりはありません。

最新モデルにこだわりがない人は、M1 は十分な選択肢となり得ます。

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