【レビュー】AirPods Pro 3 | 圧倒的ノイズキャンセリングと心拍数センサーの実力

今回レビューするのは「AirPods Pro 3」。普段は「AirPods MAX」を愛用している私にとって、初めてのイヤホン型 AirPods になります。

何を隠そう、私はイヤホンが苦手です。ヘッドホンと比べて耳の近くから音が鳴るのと圧迫感とで、すぐに疲れてしまい、頭痛になることがしばしばありますから。

そんな私が買ってみた AirPods Pro 3。果たして “イヤホン嫌い” でも満足できるでしょうか? その実力を正直にレビューします。

AirPods MAX のレビューはこちら

目次

AirPods Pro 3 を購入した理由

AirPods Pro 3 本体と充電ケース
AirPods Pro 3 本体と充電ケース

イヤホンが嫌いなくせに、AirPods Pro 3 を購入した理由。一番の目的は外出時の利便性向上です。

今使用している AirPods MAX それ自体はとても気に入っています。しかしヘッドホンは蒸れます。気温が 28 度あたりを超えてくると、暑さに耐えられなくなってしまいまして。そのため今年の 7 月以降、電車の中を含めて移動中に使用する (できる) 機会がほとんどなくなってしまっていました。

また、AirPods MAX はご存知の通り非常に大きい。荷物を少なくして、身軽にお出かけしたい時に邪魔だと感じる場面がこれまでいくつかありました。

そこでコンパクトで蒸れの心配もないイヤホン型の AirPods Pro 3 に白羽の矢が立ったと言うわけです。

AirPods MAX を購入するよりもさらに前は、イヤホン型の「Sony WF-1000XM3」を愛用していました。Sony WF-1000XM3 も音質面で気に入っていましたが、接続不良やバッテリー持ち等の使い勝手の面での不満があったんですよね。

そうした経験もあって、AirPods MAX で Apple のエコシステムとの連動性を体験した今、もはや AirPods シリーズ以外の選択肢を取るのはあり得ません。そんな中で実におあつらえ向きなタイミングで登場した AIrPods Pro 3、購入しないわけにはいかなかったのです。

開封と外観レビュー

高級感のある AirPods Pro 3 の化粧箱

それでは早速開封していきましょう。化粧箱は非常にコンパクトで、Apple らしい洗練さを感じられるデザインになっています。

AirPods Pro 3 の化粧箱裏面の価格タグは斜めに貼り付けられている

……と思ったら裏面の価格シールは水平が取られていないませんね。せっかくなんだからそこまでこだわってクレメンス。

AirPods Pro 3 の化粧箱を開封すると「Designed by Apple in California」のテキストがお出迎え

ご開帳。いつもの「Designed by Apple in California」の紙の下には……、

AirPods Pro 3 の化粧箱からのぞく AirPods Pro 3 の充電ケース

非常に小さな AirPods Pro の充電ケースがお出迎え。

AirPods Pro 3 の化粧箱からのぞく AirPods Pro 3 の充電ケースはまるで褌を履いているかのよう

ふんどしを巻いているようにしか見えない件。

AirPods Pro 3 の充電ケースは光沢が強いプラスチック素材

ふんどしをキャストオフ。テカテカですね。傷がつきやすそうで、確かにケースを着せたくなる人がいるのも頷ける素材感です。私は着けないけれど。

AirPods Pro 3 の充電ケースを開くと、本体がチラリと見える

充電ケースを開くと、本体がお目見え。軽い力で抜き取れます。

AirPods Pro 3 の充電ケースから取り出した本体は一層小さく見える

イヤホン本体も非常にコンパクト。こんなに小さいのにバッテリーが 8 時間も持続するのだから驚きです。

AirPods Pro 3 化粧箱の底

化粧箱に戻り、充電ケースの下には交換用イヤーピースが同梱されていました。

Picture: Apple

最初から取り付けられている M サイズを含めて、全 5 種類のサイズの陣容です。私は目下右耳を M、左耳を S サイズにしてみましたが、まだイマイチしっくりきていません。より適合する大きさを、引き続き模索していきたい所存です。

AirPods Pro 3 と Sony WF-1000XM3 のサイズを比較してみる

AirPods Pro 3 の充電ケースは Sony WF-1000XM3 の充電ケースと比べて圧倒的に小さい
左: Sony WF-1000XM3 / 右: Apple AirPods Pro 3
AirPods Pro 3 の充電ケースは Sony WF-1000XM3 の充電ケースと比べて圧倒的に薄い
左: Sony WF-1000XM3 / 右: Apple AirPods Pro 3


Sony WF-1000XM3 とサイズを比較するとこの通り。AirPods Pro 3 がいかにコンパクトであるかがよくわかります。

iPhone とのペアリング方法

AirPods Pro 3 と iPhone 14 Pro とをペアリングした
AirPods Pro と iPhone 14 Pro とをペアリング

ペアリング方法は、付属の説明書を見なければ一生わからなかった気がします。

AirPods Pro 3 はペアリングのために、本体を充電ケースに収容したまま、充電ケースの蓋を開け、その状態で iPhone に近づける必要があります。先に AIrPods Pro 3 を耳に装着してしまうとダメ。わかるかいそんなもん。

AirPods MAX の時は、箱から取り出して頭に装着するだけでよかったはずです。AirPods Pro 3 も直感的にペアリングさせてくれればいいのにね。

とはいえ、一度繋いでしまえばあとは快適そのものです。AirPods MAX と同様に、iPhone、iPad、Mac 間を特に設定や操作の必要なくシームレスに切り替えてくれます。

また AirPods Pro 3 を装着するだけで iPhone や Mac のスピーカーがオフになり、自動的に AirPods Pro 3 からの出力に切り替わるのも、大変便利という他に言い表せられないほどに便利です。これがあるからもはやサードパーティ製のワイヤレスヘッドホンを使う気にならないんですよね。

AirPods Pro 3 の装着感は良好、痛くならないぞ

Picture: Apple

さて、私がイヤホンを苦手とする理由の一つ、付け心地。特に AirPods Pro 3 のようなカナル型は、一般的に圧迫感が強く、頭痛を誘因する要素です。

では、AirPods Pro 3 がどうかというと、非常に「軽い」という印象です。これは片方 5.55 g という物理的な軽さの面でももちろんですが、それ以上にカナル型にしては圧迫感が控えめという意味で、軽く感じます。特に Sony WF-1000XM3 と比べるとその差は歴然です。

そのため AirPods Pro 3 から音を出さずに、耳栓として使う上では、長時間装着し続けていても痛くなりづらそうだと期待ができます。少なくとも、記事執筆時点で最大 2 時間装着し続けていますが、今のところ痛みを感じていません。

一方で、その軽さの分なのか、フィット感はイマイチです。奥まで入っている感というか、バッチリ固定されている感があまりありません。Sony WF-1000XM3 は装着中でも絶対に落とさない、失くさないという安心感がありました。AirPods Pro 3 にはそれがなく、ふとした瞬間に落としてしまいそうです。

ただ、もしかするとフィット感はただの慣れの問題に過ぎず、時間の経過とともに気にならなくなるのかもしれません。もう少し様子を見続けようと思います。

AirPods Pro 3 の音質は MAX に近いが、より低音を感じる

正直なところ、私は外出用のイヤホン・ヘッドホンに対してそこまで音質を求めていません。なぜならば、どうせ数多のノイズによって、まるで音楽を楽しむには非合理的な空間の中で使用することになるからです。そのため外出用のイヤホン・ヘッドホンでは、後述する ANC (アクティブノイズキャンセリング) 性能の方が重要だと思っています。

また音質とは結局のところ聞き手の好みによる部分が大きいので、他者の感想よりも周波数特性、あるいは実際に自分で試聴してみることのほうがよっぽど重要です。

これらを前提とした上で、私のレビューを記載しておきます。あくまで参考程度にご覧ください。

やや低音強めのフラット特性も、耳が痛くなるほど強力ではない

ファーストインプレッションは、一言で表すと「実家のような安心感のある音」でした。好きか嫌いかでいうと、好きな音です。

傾向としては AirPods MAX に近いフラット傾向ですが、やや低音が強調されている印象を受けます。これは Apple Event で Apple が言及していた通りのチューニングになっているということなのでしょう。とはいえ、強すぎるわけではなく、低音が苦手な私でも問題がない範囲です。長時間装着していても聴き疲れはしづらそうです。

Picture: Apple – 再設計されたドライバとアンプにより、低音は一層深くなったとの触れ込み

またイヤホンのサイズ感に起因しているのでしょうが、ヘッドホンの AirPods MAX と比べると音場が狭く、やや籠ったように聴こえます。

これらの特徴から、どことなく昔愛用していたイヤホン、「Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro」(通称 10 Pro) を想起させられました。もはや 10 Pro が壊れて使えなくなってから 7、8 年経過しようとしているため、遠い彼方の記憶との比較になってしまいますが、そういう意味で実家のような安心感を抱いたのです。

実際のところ、他の方が検証した周波数特性を見比べてみると、両者は互いに近からずも遠からずという線を描いていました。この感想は当たらずも遠からずといったところなのかもしれません。

ただし、しばらく聴き続けているうちに、両者間の明確な違いにも気がついてきます。特に違うのは籠り方。10 Pro の方が間違いなく籠り具合がもっと強かったはず。それに対して AirPods Pro 3 は圧倒的にクリアな印象があります。解像度も高い。

ひとえに時代と共に技術が高まったことの証左なのでしょう。Bluetooth 接続、そして極小サイズでこの音質を体験できるのであれば、外で楽しむ分には十分すぎる性能だと言いきれます。どんなジャンルの音楽もそつなく鳴らし、YouTube 動画も快適に視聴できるため、少なくとも、私の基準は十分クリアしてくれる音質だということです。

アクティブノイズキャンセリング性能は、本当に進化したか?

アクティブノイズキャンセリング (以降 ANC) 性能を測るために、休日にもかかわらず、わざわざ外出して電車に乗ってみました。

結果は驚愕。AirPods MAX さえ上回るほどに、強力です。電車の「ガタンゴトン」という音や、扉の「プシューッ」といった開閉音が、さすがにゼロとは言いませんが、まるで聞こえません。AirPods Pro 3 の性能の絶対値で言えば、非常に優秀であることは火を見るより明らかです。

実際に AirPods Pro 3 の ANC 性能を分析、他製品との比較をしている動画を見つけたので共有します。同動画によると、確かに AirPods Pro 3 は、Pro 2 と比べて 2 倍の ANC 性能が実現されているようです。また AirPods MAX と比べても優れているとされていますが、私の体感では AirPods Pro 3 のカナル型密閉によって、数値以上に Pro 3 の方が強力だと感じました。

ANC 性能の他、音質についても分析がされています

一方で、車内アナウンスをはじめとした人間の声は多少聞こえてきます。これら周波数帯のキャンセリング性能も明らかに AirPods MAX と比べて優れていますが、電車の走行音等が聞こえない分、かえって強調されて聞こえる印象です。だからこそ、普段は気にならない環境ノイズであるはずの子どもの泣き声が、とてつもない強烈なインパクトを持つようになってしまいました。

私は電車内で主に Duolingo をしていますので、外界の会話等が気になるのはちょっとマイナスポイント。ノイズキャンセリングが効きすぎることによって、功があることはともかく、罪があるとは思っていませんでした。さすがにこれは予想外。

Picture: Apple – H2 チップは前世代から継続だが、相当なチューンナップが施されている

とは言え、当たり前ですが ANC は効かないよりも、効いてくれたほうが絶対にいいです。近々飛行機に乗る機会があるので、そこでもぜひ試してみたいと思っています。連続使用 8 時間にも耐えるバッテリー性能で、長距離移動で安心して使用できるのもありがたいところ。

心拍数センサーを自宅トレーニングで試す

Pcture: Apple – AirPods Pro 3は、不可視光を毎秒 256 回放ってワークアウト中の血流の光吸収を測定する、新しい心拍数センサーを備える

なぜ Apple Watch ではダメなのか?

私が個人的に最も期待していた機能の一つに、心拍数センサー機能があります。

AirPods Pro 3 から新たに実装された機能で、不可視光を毎秒 256 回放って血流の光吸収を測定する、専用のフォトプレチスモグラフィ (PPG) センサーによって実現されています。これによって心拍数と消費カロリーを記録したり、ムーブリングを完成させたり、バッジを獲得したりできます。

「Apple Watch でええやん」と思いますよね。でも、必ずしもそうではないんですよ。

なぜか。運動をすると、汗をかきますよね。Apple Watch をつけて運動すると、バンドが汗を吸ってしまいます。そうなるとバンドを洗濯しなければなりません。Apple Watch のバンドは手洗いする必要があり、運動するたびに手洗いをするのはあまりにも面倒臭いのです。

そこでこの、AirPods Pro 3 の登場です。汗や洗濯の心配がなく運動の記録ができるのです。これは怠惰な私にとって、あまりにも大きなメリット。

実際に AirPods Pro 3 をつけてトレーニングをしてみた

そんな心拍数センサーの性能はいかほどなのか。というわけで、早速 AirPods Pro 3 を装着し、習慣にしている自宅トレーニングメニューをこなしてみました。

  • 1 日目: 筋力トレーニング (機能的筋力トレーニング)
    • ノーマルプッシュアップ: 50 回
    • スクワット: 100 回
    • カーフレイズ 左右: 60 回ずつ
    • 懸垂: 15 回
    • バックエクステンション: 50 回
    • アブローラー: 30 回
AirPods Pro 3 の心拍数センサーで計測した機能的筋力トレーニングの結果
  • 2 日目: 体幹トレーニング (コアトレーニング)
    • ノーマルプランク: 2 分間
    • サイドプランク左右: 1.5 分間ずつ
    • バックプランク: 2 分間
    • マウンテンクライマー: 1.5 分間
AirPods Pro 3 の心拍数センサーで計測したコアトレーニングの結果

この結果がどれほど正確なものなのかは判断できませんが、心拍数や消費カロリーの記録は無事に取れています。

私はプロのアスリートでもなんでもなく、しがない一般おじさんですから、こうして何かしら記録が残るだけでも十分であり、運動のモチベーションが維持しやすくなります。正直、かなりお気に入りの機能です。

Apple Watch で記録することを諦めていた証拠として、初めてのバッジを獲得してしまいました

AirPods Pro でしか使えない機能

iPhone から AirPods Pro 3 の設定画面を覗くと、AirPods MAX にはなかった「聴力チェック」や「装着感チェック」の項目が実装されていました。

せっかくなのでそれぞれ試してみましたが、長くなるのでこの記事では割愛します。

まとめ: AirPods Pro 3 はどんな人におすすめ?

AirPods Pro 3 は、イヤホンが苦手な私にとっても、快適に使用できる製品でした。全国のアンチ・イヤホンの同志諸君、手に入れるなら今です。

Apple のエコシステムにどっぷりハマっているのであれば、AirPods Pro 3 は間違いない選択肢でしょう。AirPods Pro 3 の使用開始からまだ 3 日間しか経っていないものの、満足する買い物であったと言いきれます。AirPods MAX ユーザーにもおすすめできます。

すでに AirPods Pro 2 以前の AirPods を持っている人たちが買い替えるべきかと言われると、先述の分析動画を引用して、ANC 性能の向上が目的なのであればそうでしょう。けれどもバッテリーがへたっているとか、音にノイズが乗っているとか、何かしらの不具合が出ているのであれば、ANC 性能に限らずともアップグレードに値する製品だと断言できます。

Apple AirPods Pro 3
総合評価
( 5 )
メリット
  • 優れた音質と圧倒的な ANC
  • コンパクトなサイズと軽量さ
  • イヤホンが苦手でも痛くならない付け心地
  • 心拍数センサーによる運動記録機能
  • 連続 8 時間のバッテリー持ち
  • Apple エコシステムとの連携力
デメリット
  • 価格が高め (¥39,800、2025 年 9 月現在)
  • フラット傾向で面白みにかける音作り


AirPods Pro 3 の買い替えや機能に関するQ&A

AirPods Pro 2 から AirPods Pro 3 に買い替えるべきか

ANC 性能や心拍数センサーの追加など進化はありますが、音質や基本機能は Pro 2 でも十分。ANC 性能やバッテリー寿命を重視する方、あるいは Pro 2 のバッテリーが劣化している方は買い替えても後悔しないはずです。

AirPods Pro 3 の心拍数センサーはどのくらい正確か?

医療機器ではないため厳密な精度は期待できませんが、トレーニングや日常の目安としては十分役立ちます。汗で Apple Watch のバンドを洗う手間を避けたい人には特に便利です。

AirPods Pro 3 と AirPods MAX、どちらを選ぶべきか?

音場の広さや装着の安心感は AirPods MAX に軍配が上がりますが、夏場の蒸れや持ち運びやすさでは Pro 3 が優秀です。用途が通学・通勤等の外出中心なら Pro 3、自宅や職場等、落ち着いた環境でのリスニングが主なら MAX が向いています。

AirPods Pro 3 を Apple 銀座で受け取った時に覚えた違和感

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